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2011年04月07日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

東日本大地震から約1ヶ月近く経ちますが、いまだに余震が続いています。
現地は、少しは温かくなっているようですが、復旧作業や仮設住宅の不足などを考えるとまだまだ不安な日が続いています。
一日も早く現地の方々が、通常の生活に戻ることができるようにお祈り申し上げます。

ところで、今回の地震被害を受けて保険に関する相談や問い合わせが多くなっているので、少し書きたいと思いました。

マンション管理組合では、共用部分に発生する不測の損害を担保するため、火災保険(損害保険)を付保している場合がほとんどだと思います。
最近の火災保険は、マンションで発生する火災事故だけでなく、水濡れ、飛来落下物、盗難、水災、落書き等の損害に対して幅広くカバーできるタイプとなっています。以下火災保険といわずに「マンション総合保険」といいます。
そして保険の自由化後、保険各社の商品も独自性を持つようになり、昔のように補償内容や保険料が横並びということもなくなりました。
管理組合の希望により、ある項目を追加したり、或いは除外したりすることもでき、保険料もそれにより大きな差が出ることもあります。
また特約として、共用部分に起因する損害賠償責任を担保する「施設賠償責任保険」や個人の日常生活における損害賠償責任を担保する「個人賠償責任保険」も付保することが可能です。
これらの特約は、単独で契約するよりも主保険であるマンション総合保険とセットで付保すると保険料が割安になるメリットもあり、最近は多くの管理組合で採用しているようです。

そして今、地震保険が注目されています。
マンション総合保険を含め通常の火災保険では、地震や噴火及びこれらによる津波などを原因とした災害の場合は、補償されないことになっているからです。
ですから主保険に加えて地震保険を契約していない場合は、地震による損害は担保されないことになります。
それでは、地震保険を付保していればそれらの損害は全て担保されるのでしょうか。
実は、地震保険を付保していても全ての損害が補償されるわけではありません。地震保険は通常の火災保険とは違う保険金の支払い基準(損害認定)によって損害額(支払われる保険金の額)が決まります。それは、マンション共用部の例でいうと、地震によりマンションの主要構造部(柱、壁、床、はり、屋根等)にどの位の損害があったかによって保険金の額が決まります。したがって、共用部分である窓ガラス、扉、給配水設備、エレベータ等の機械設備、その他付属物だけといった被害では、地震保険に加入していても補償の対象にはなりません。普通では担保されているガラスの破損、バルコニーの隔板の損傷、受水槽などの共用施設の損害等は補償の対象となりません。首都圏でも、私がお世話になっている浦安のマンションなどでは、地震により、塀の損傷、駐車場の舗装の沈下や隆起、廊下のタイルのひび割れやはがれ等の被害が発生していますが、これらの損害は地震保険を契約していても補償されません。

これは私の個人的な意見ですが、地震保険は保険料が高いことや補償の範囲が限定的であること等を考えると、マンションの共用部分にかける保険としては本当に必要なのかいつも疑問に感じています。(専有部分にかける場合はそれなりの価値があると思いますが。。。)
それぞれのマンションが抱える事情や管理組合の考え方がありますので、最終的には管理組合が判断されることとは思いますが、冷静になって十分検討されたほうが良いと思います。

次に個人賠償責任保険について少し述べてみたいと思います。
前述のように、この保険は個人の不注意等が原因で日常生活の中で負うことになった損害賠償責任を担保する保険です。日常生活の場であればマンション内に限りません。
代表的な例は、水漏れ事故を起こし下階の住戸に損害を与えてしまった場合ですが、この他にも、家族が買い物途中に自転車で第三者に怪我をさせた場合など、かなり幅広い範囲で適用があります。
今回の地震で、留守中に自宅の水道栓が壊れて水が溢れ出し、その人の住戸だけなく下階の住戸にも大きな損害が発生した事例がありました。
この場合、個人賠償責任保険の適用があるかという相談でしたが、キーワードは「賠償責任」です。法的に損害賠償責任が発生したのであれば、保険適用の対象となりますが、そもそも地震等の天災による災害を担保する性格の保険ではありません。

それから、このような場合に引き合いに出されるのが民法第717条の「土地の工作物責任」です。
この条文のポイントは、


  1. 土地の工作物の建造や保存に瑕疵(欠陥)があって他人に損害を与えたときは、まずその土地の住人や管理人などの占有者が損害賠償の責任を負う。

  2. これらの占有者が、十分な注意を払っていた場合には、工作物の所有者がその損害を賠償しなければならない。

  3. この責任は、過失の有無に関係のない「無過失責任」である。

  4. また、「土地の工作物」とは建物や塀に限らず建物内部の設備や、植栽なども幅広く含まれる。

以上ですが、この場合のキーワードは「設置又は保存に関する瑕疵」です。
相談例の場合は、地震によって室内の水道栓が破損したとありますが、この場合は設置・保存について瑕疵があったのかどうかがポイントになります。
瑕疵がなかった場合は、そもそも民法717条の対象外となります。
保険の専門家に聞いたところ、阪神淡路大震災の時も同様の事故が多発したようですが、ほとんどの場合は「瑕疵がなかった。」ということになり、損害賠償責任は否定されているようです。
そうなると、今度は被害を受けた住戸のほうは「泣き寝入り」になりかねません。
損害賠償も請求できず、保険の適用もないということになるので、最終的には、管理組合内で話し合っていただくしか解決方法はないようです。

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