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昨年の3・11の大地震以降、いたるところで節電対策がとられています。
マンションの共用部分の電気代についても、ほとんどの管理組合が削減の努力や工夫をされています。重松マンション管理士事務所でも、多くの管理組合から共用部分の電気代削減について相談を受けています。
今回は、昨今話題となっているマンション共用部分の電気代削減に関してお話しさせていただきます。
電気代を削減するには、以下の3通りがあります。
業務用電力は今年の4月以降の契約から、1kWhあたり2円61銭(現在は2円36銭)上がり、一般家庭用電力は、9月から平均で8.46%上がりました。 業務用電力の場合は、計算が簡単なのですが、家庭用電力に関しては使用量が多くなるほど単価が高くなる3段階制をとっています。 東京電力の8.46%値上げという計算根拠は分かりませんが、恐らく1ヶ月の電気使用量が300kWh以下の家庭を想定してシミュレーションしたものだと思います。 下の表ををご覧になってください。 |
従量電灯(100V)B・Cの場合、1ヶ月の使用量が120kWh以下(1段目)の場合は、値上げ幅は5.7%ですが、300kWhを超える場合(3段目)の値上げ幅は、20.6%です。 また、低圧電力(200V)の場合は、平均で23.7%の値上げです。 これに加えて、燃料費調整額、太陽光発電促進賦課金、再生可能エネルギー発電促進賦課金が、今年の9月では、昨年同月比+0.88円/kWhの増額となっています。つまり、一般家庭よりもより多くの電気を使用するマンションの共用部分においては、昨年と同じ使用量の場合でも、8.46%ではなく大幅な値上げとなる可能性があります。 下の表でシミュレーションしてみましょう。マンションで100Vの電灯が10kVA、200Vの電力が20kWの契約の場合で、月間使用量はいずれも2,000kWhとした場合です。 昨年の9月であれば、98,479円の支払いですから、今年は8.46%上がって106,810円くらいかと思ったら、実は117,590円と約19.4%の値上がりです。 この状況をみるとやはり電気代の削減対策をもっと真剣に考えたいと思わざるを得ないですね。 |
マンションの共用部分の受電形態には大きく分けて2通りあります。1つは「低圧受電」といい、契約容量が50kW未満の場合です。この場合は、家庭用の電力と同じ扱いとなります。マンションの設備の状況によっても違いますが、戸数が概ね80戸以下のマンションの場合を想定してください。
以下具体的な事例をご紹介します。
竣工当初は、ほとんどのマンションが従量電灯B・C(100V)と低圧電力(200V)で契約されています。 電灯と低圧電力を合計して15kW以上50kW未満の場合、これをまとめて「低圧高負荷契約」に変更したらどうなるでしょうか? 左の表で、「従量電灯B・C」、「低圧電力」と、「低圧高負荷契約」の単価と基本料金を比較してみました。「低圧高負荷契約」の場合は殆どの使用料金単価と基本料金が高くなっています。但し、従量電灯の2、3段目の単価と比較すると、逆に大幅に安くなっています。 つまり、100Vを多く使うマンションでは、「低圧高負荷契約」に変更すると効果が出る場合があります。具体的には、廊下が内廊下タイプのマンションで昼間も点灯している時間が長いマンションの場合は、トータルの電気代が安くなる可能性があります。しかし、エレベーターや給水ポンプの使用料が多く、廊下も開放型廊下で日中は消灯している場合などは、契約を変更することにより逆に電気代が上がってしまうこともありますので、注意が必要です。 |
この契約は、100V専用の契約形態で、従来の「従量電灯B・C」の料金体系を時間帯と季節に細かく分けたものです。但し、基本料金は変わりません。 右の表にその料金体系を示します。ご覧になっていただければわかるように、夏季(7~9月)の昼間の単価が37.56円/kWhと一番高く、逆に季節に関係なく夜間(23時~7時)の単価は11.82円/kWhとかなり安く設定されています。 もともとこの契約は、深夜電力を利用して電気温水器、エコキュート、夜間蓄熱式機器等を使用する場合に適したものです。 これをマンションに適用すると、夜間の電灯の使用量が多いマンションでは、電気代削減の効果が出る場合があります。 但し、マンションの管理組合が、東京電力とこの契約を結ぶ場合は、前述の夜間蓄熱式機器を設置して東京電力の許可を得なければいけません。 |
マンションで低圧電力(200V)を使用している機器は、エレベーター、給水ポンプ、機械式駐車場等がありますが、竣工当初はすべての機器の電気容量を合計したkW数、すなわち最大値で東京電力と契約している場合が殆どです。これを負荷設備契約といいます。
しかし、それらの機器は照明のように連続して長時間稼働しているわけではありませんので、実際に必要な電気容量は、契約容量よりも少なくても良いはずです。そこで、設備容量にかかわらず、実際に機器が稼働する時のブレーカーに流れる電流値を基に、ブレーカー容量の大きさで契約する方法があり、これを主開閉器契約(ブレーカー契約)といいます。この方式に変更することにより、契約容量を下げることができれば、その分の基本料金が下がりますので電気代が当然に安くなります。
問題は、契約容量をどこまで下げることが可能かということですが、専門のコンサルタント等に依頼すると調査してくれます。そして効率的な契約容量の決定とともに必要となるのが電子ブレーカーの設置です。電子ブレーカーとは、従来の熱動式の物とは違い、電流値をデジタル数値で正確に計測して遮断しますので、一時的に契約容量をオーバーする電流が流れても、短時間であれば遮断せずに機器を稼働させることができます。(長時間オーバーすると安全性の観点から強制的に遮断させます。)
この契約は、電子ブレーカーを設置して契約変更申請をした後、東京電力が設置確認の調査を行った後に実施となります。
次にもう一つの受電形態として「高圧受電」があります。
共用部分の契約容量が50kW以上の場合は、東京電力は6,600Vの高圧で電気を供給し、需要家側で自家用の受変電設備(キュービクル)を用意して100~200Vに下げて利用することになっています。
マンションは「住宅」であり、「企業」ではありませんが、この場合は電気を多く使用する企業と同じ扱いになります。電気料金も一般家庭向けの料金と比較すると安く設定されており、例えば従量電灯B・Cの3段目の単価と業務用電力の夏季以外の単価では、倍近い差があります。
東京電力から今年の春先に一方的な値上げ通告が来たマンションは、この高圧受電をしているマンションです。このようなマンションでも、東京電力との契約を変更することにより、電気代を削減することは可能です。しかし、もともと電気料金が安いので、電気代削減に関しての効果は、前述の低圧受電のマンションほどは大きくありません。しかし、マンションの規模にもよりますが、年間で10万円前後の削減が見込める場合もありますので検討の価値はあります。
この場合は、東京電力のお客様相談室(050-3066-3033)に電話をかけて相談すると結構親切に対応してくれて、どの契約に変更したほうが得なのかを無料でシミュレーションしてくれます。
その他、24時間の絶縁監視装置等をキュービクル内に設置することにより定期点検の頻度を減らすことができる場合もあり、わずかですが毎月実施している電気技術者による「自家用電気工作物点検」の費用が削減できる可能性もあります。
最後に注意していただきたいのは、6,600Vの高圧受電はもともと電気代が安く設定されているとはいえ、そのために必要なキュービクルは管理組合の資産です。つまり管理組合の責任と負担で今後も管理する必要がありますし、いずれ更新も必要となりますのでそのための費用も準備しておかなければなりません。ですから、低圧受電よりも安く設定されている電気代の分を将来に備えて貯金するくらいの心がけも必要です。
また、マンションの電気代削減に関しては、最近はマンションのタイプや事情に応じた調査を十分に行ったうえで、最適の提案をしてくれる専門のコンサルタント会社があります。それらのコンサルタントを上手に活用することも一つの方法だと思います。
※マンションの「一括受電サービス」に関する記事を別途まとめましたので、ご興味がある方はそちらの記事もご参照ください。
⇒マンション一括受電サービスとは?仕組みや導入時のポイント等をご紹介します
マンション管理コンサルタント マンション管理士 重松 秀士(プロフィール| )
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