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2003年11月24日  [ カテゴリ:法律・財務などのソフト分野 ]

2003年4月に国土交通省から発表された「マンション標準管理委託契約書」について解説しました。

1.はじめに

今年の4月に「マンション標準管理委託契約書」が新しく国土交通省から発表されました。
昭和57年に前身の「中高層共同住宅標準管理委託契約書」ができて以来実に21年ぶりの大改訂です。
今回は「マンション標準管理委託契約書」について簡単に解説いたします。

2.「標準管理委託契約書」とは

ご存知の通りマンションの維持管理はマンション区分所有者で構成する「管理組合」が主体となって行います。
2001年に施行された「マンション管理適正化法」でもそのようにうたってあります。
しかし一般的には管理組合はマンションを管理するための専門的知識やノウハウを持たず、又、区分所有者もマンション管理に専念できない状況にあります。そこでどうしても専門知識を持った管理業者に管理を委託することになり、約9割の管理組合が管理業者に管理を委託していているのが現状です。
ところが管理組合と管理業者の間でトラブルが頻発するようになりました。例えば「きちんとした契約書がない」「委託している業務の範囲が不明確」「委託管理費の明細が不透明」更にひどいのは「管理業者が倒産して多額の積立金を持ち逃げされた」などです。
そこで当時の建設省がトラブルを防止する対策として管理委託契約の雛形として「中高層共同住宅標準管理委託契約書」を作成しました。
法的な拘束力はありませんが役所の指導として長年マンション管理のトラブル防止策として一応の成果を果たしてきました。

3.では、どうして改訂されたか?

一言でいうと、21年前とはマンションを取り巻く環境が大きく変わり、今までの標準管理委託契約書では現実に対して矛盾を生じるようになってきたからです。
つまり、もはや「標準」とは言えなくなってきたからです。

①マンションの持つ社会的地位や使命が大きくなった。→今やマンションの数は420万戸を超え、全国では1割、首都圏では実に5割の人が居住する都市の重要な施設となっている。
②2001年の「マンション管理適正化法」の施行、2002年の「マンション建替え円滑化法」の施行、そして本年の「区分所有法」の改正により、マンションに関する法律が整備されたが「中高層共同住宅標準管理委託契約書」はそれらの法律と整合性が取れない部分が出ている。

4.どの部分がどのように変わったのか(改訂の要点)

ア)自動更新条項が削除された。(第21条関連)

従来は契約終了の○ヶ月前(普通はⅰ~3ヶ月)までに双方から申し出がない場合は同一条件で自動的に○年間更新するとありましたが今回の改正では削除されています。
これは「マンション管理適正化法」が施行されたことにより業務を受託するには必ず「重要事項説明」を行わなければならないと規定されており、説明を行わなくても自動的に更新される契約自体が「マンション管理適正化法」と矛盾することになります。
そこで自動更新条項を削除し更新したい場合は3ヶ月前に申し入れ、その上で重要事項説明を実施したのち更新すべきとしました。更に双方の協議が整わない時は○ヶ月間の暫定契約を結ぶことができると改訂しました。(一般的には3ヶ月が多いようです。)
当然のことながらこの処置には管理業者の団体が猛烈に反発しましたが国土交通省は断固として修正を拒否し管理組合や区分所有者の保護に力を発揮したといえます。

イ)解約の申し入れが、3ヶ月の猶予期間を設けることで双方から可能になった。(第19条関連)

従来は解約については双方どちらかに債務の不履行や会社の倒産等の事由が生じた場合に認められていました。
又、民法によりいつでも解約は可能ですが、相手に損害が発生した時は損害賠償義務が発生し、過去にも裁判になった例があります。
今回の改訂では事由に関係なく3ヶ月前に申し入れをすると、管理組合からも又は管理業者からも解約が無条件で可能になりました。
これは、管理組合及び管理業者の双方に自由な解約権を認めさせることを目的としています。

ウ)財産の分別管理義務を明確にし、管理費等の収納方法も細かく規定した。(第3条関連)

以前は管理会社が倒産し預けてあった多額の積立金が持ち逃げされたり、銀行に差押さえられたりする大事件が発生しました。(榮高事件 平成8年5月東京地裁など)
当然この後、国土交通省も管理組合と管理業者の財産は明確に分別して管理するよう指導を強化し、「マンション管理適正化法」にも明文化されました。
これを受けて今回の改訂では収納方式の明記(原則方式、収納代行方式、支払い一任方式)や通帳と印鑑の保管方法、管理業者が倒産した時の保証機関などを細かく記載することを指導しました。

エ)事務管理業務の内容を明確にし、委託した業務と委託費の関係をはっきりさせるようにした。又、第三者への再委託の制限をより明確にした。(第3条、第4条関連)

従来の管理委託契約書の中で一番判りにくいと指摘があったのは業務内容や範囲です。
「事務管理業務」「総会支援業務」「管理員業務」「フロントサービス業務」その他・・・・・?????などかなり難解な部分もありました。又、委託金額も1式○○○円が多く、内訳が不明朗と指摘されていました。

今回の改訂では管理事務(委託業務)を

①事務管理業務
ⅰ基幹事務
  a)会計の収入及び支出の調定
  b)出納
  c)マンション(専有部分を除く)の維持または修繕に関する企画又は実施の調整
ⅱ基幹事務以外の事務管理業務
  a)理事会支援業務
  b)総会支援業務
  c)その他

②管理員業務
③清掃業務
④建物・設備管理業務

と比較的すっきりさせそれぞれ別表をもって内容をかなり細かに明記し、管理組合が理解しやすく又、複数の管理業者から見積を採取する場合に比較しやすい内容にしました。
更に委託費を上記①~④までに分け各項目ごとの費用明細が分かるようにしています。
尚、上記①の事務管理業務の内ⅰの基幹事務に関しては「マンション管理適正化法」で一括して第三者に委託することはできません。以前の標準管理委託契約書もそのように書いてありましたが今回の改訂では別途コメントを用いて明確にうたってあります。

オ)管理業者の免責事項が明確化された。(第8、10、11、13、17条関連)

管理業者の業務範囲が明確にされたということは、逆の考え方をすれば業務範囲外つまり責任を負わない範囲を明確にする必要があります。
旧標準管理委託契約書では今ひとつ明確でなかった部分を今回はより具体的に表示するようになりました。
例えば災害や事故などで管理業務が遂行できなかった場合や緊急時対応を想定して、災害や事故の種類を具体的に明示しました。又、管理費等の滞納者に対する督促や有害行為の中止請求に関してはその方法などを明確にし、それ以降は責任を免れる旨も条文化しています。

カ)管理事務の報告について「マンション管理適正化法」との整合性をもたせた。(第9条関連)

「マンション管理適正化法」では管理組合の事業年度終了後、遅滞なく管理業務主任者をして書面にて報告させなければならないと定められています。
今回の改訂では「マンション管理適正化法」との整合性をもたせるため管理業務主任者をして管理組合の事業年度終了後○ヶ月以内に(普通は2~3ヶ月)報告するよう条文化しました。
又、管理組合が請求した時はいつでも管理業者は管理事務の処理状況及び会計の収支状況を報告しなければならないことになりました。

キ)管理業者の守秘義務が新たに追加された。(第16条関連)

「マンション管理適正化法」ではマンション管理業者及びその従業員は業務上知り得た顧客の秘密を正当な理由がなり限り漏らしてはならないことになっています。
「マンション管理適正化法」との整合性をもたせるために管理業者の守秘義務を条文化しました。

ク)その他

その他には管理員室を無償使用する際の維持費用の負担を明確にしたり、管理組合と管理業者双方の通知義務及びその内容をより詳しく条文化したりしました。

5.おわりに

 今回の改訂のポイントは
・「マンション管理適正化法」との整合性をもたせ従来の矛盾点を解消した。
・管理組合や区分所有者の保護を更に強化した。
・一方では契約(業務)範囲を明確にし、管理業者の責任範囲(免責事項)もはっきりさせた。
等です。
名称も従来の「中高層共同住宅標準管理委託契約書」から「マンション標準管理委託契約書」に変わりました。
この「マンション標準管理委託契約書」を今後の「管理業者とのトラブル解消」「管理組合運営の円滑化」「マンションの資産価値の維持」等にぜひ活用されることを期待いたします。

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