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ホーム > コラム:管理組合通信 > 法律・財務などのソフト分野 > 【コラム】管理費等の滞納に対する消滅時効が5年!

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2004年07月14日  [ カテゴリ:法律・財務などのソフト分野 ]

管理費等の滞納に関しては以前にも書きましたが、困っている管理組合がたくさんあります。
それに追い討ちをかけるような判決が確定しましたので私の思いを書きました。

1.はじめに

本年4月に最高裁判決でマンションの管理費等(管理費及び修繕積立金以下同じ)滞納の消滅時効はいわゆる「定期給付債権」にあたるとの判断で5年であるとの判決が出ました。
従来管理費等の滞納の時効は5年説と10年説があり10年説のほうが有利とされていましたのでわれわれ現場で働くものとしては多少安心していましたが今回の決定でがっかりしました。

おそらく最高裁の裁判官はマンションで生活したこともなければましてや役員などやったこともない人ではないかと感じました。今回は自分のマンションやクライアントの依頼で管理等に関する裁判を経験している立場から少々意見を述べさせていただきたいと思います。

2.区分所有法を利用しての債権回収

(1)区分所有法第8条の効力

ご存知のように区分所有法第8条では特定承継人(前の所有者から譲渡を受けた新しい区分所有者)は前区分所有者が滞納していた管理費等を支払わなければならない義務があります。この条文は管理組合にとっては救世主的な存在であることに間違いはありません。時効が成立する5年以内に何らかの方法で新しい区分所有者が決まればその方から回収できますので多くの場合はこの法律を適用して問題が解決します。
しかし、後述するように区分所有者が滞納を続けているにもかかわらずマンションは相変わらずその人の名義のままになっていることがあり、その場合はこの法律では解決しません。

(2)区分所有法第7条の「先取特権」について

この「先取特権」が適用される場合も非常に限られます。裁判所によっては最初から相手にしてもらえない裁判所もあります。
私も何とかこの方法で回収しようと試みましたが、極めて困難です。

①滞納をしている区分所有者が、経済的に問題がなく給与収入や家賃収入を得ていること。
②「先取特権」に基づく差押が他の差押(特に抵当権)と競合していないこと。
などが条件で、実際にこの方法で回収することは不可能に近いです。

3.バカを見る管理組合

マンション管理は個人の所有権だけの問題ではなく管理組合の財産つまり区分所有者全員の共有財産的な面が大きく影響します。またマンションは都市を形成する施設としてその管理状態は都市計画自体にも影響を及ぼします。
そのような視点から考えるとマンションの管理費等は全てのものに優先して法律で保護されるべきだと思います。しかし実際は区分所有法以外の法律の壁に阻まれて最も保護されるべき管理組合がバカを見ているのです。許しがたい事例を下記にご紹介します。

(1)絶対的に優位な抵当権

管理組合が裁判を起こして正当に債務名義を貰い強制執行等の手段に訴えても物件に抵当権が設定されている場合は絶対的に抵当権が優位なので管理組合は打つ手段がありません。債務者がそのマンションから得ている家賃収入を差し押さえようとしても抵当権には劣後しますのでどうしようもありません。
抵当権者も共益費(この場合は管理等も含む)は差し押さえられませんが、家賃の中で共益費が明確になっていなかったり、また明確になったとしてもその分が当然には管理組合に入ってきません。さまざまな手続きや交渉が必要になります。

つまり管理組合は抵当権者のために自分たちの費用を持ち出して抵当物件を一生懸命管理してあげているのです。お人よしとは思いませんか?
また、マンションを競売して回収しようとしても実際には競売後に配当が見込める場合でないと、競売はなかなか実施できません。また、抵当権者の理解も必要ですが、管理費は滞納しているがローンはきちんと払っているようなたちの悪い区分所有者が結構いて競売も不可能に近いのです。

(2)第1抵当権者がいつまでたっても法的手続き(競売)を実施しない場合

抵当権者が抵当権に基づき競売等を実施して、新しい区分所有者がすんなりと決まれば問題も解決します。しかし、債務者が破綻しているにもかかわらずいつまでたっても法的措置を実施してくれない場合があります。
私のマンションでもある区分所有者が3年前から滞納を繰り返しとっくに破綻しているにもかかわらず第1抵当権者の住宅金融公庫はいまだ手を打っておらず所有権もそのままです。法的措置を実施しないこととして考えられる理由は

①この種の事件が多く単に公庫としても忙しく手が回らないだけの理由。
②今の経済情勢の下で法的措置を実施してしまうと大幅な担保割れに陥り損金が多くなるので任意売却も含めて様子を見ている。
③第2抵当権者に何らかの配慮をしていること。
④債務者と何らかの交渉が成立していること。
などが考えられますが住宅金融公庫は債務者のプライバシーに関することなので管理組合といえども一切理由は公表しません。
債務者は逃げ得、抵当権者は法律で絶対的に保護、マンションを管理している管理組合だけがバカを見る構造です。

(3)裁判を実施したくでも実施できない場合

支払い督促制度ができたり、少額訴訟の上限額が引き上げられたり更には区分所有法の改正で管理者の権限が強化され、管理組合も以前よりずいぶん裁判が実施しやすくなりました。
しかし次のような場合は裁判を起こしたくてもなかなかできません。

①相手がそのマンションに居住しておらず、住所(居場所)が判明しない場合。
②住民票もあるしたまに見かけるので住んで入るようだが良く分からない。そして裁判所からの特別送達郵便を受け取らない場合。この場合は管理人さんの証言やその他の証拠を集めれば実施できる場合もありますが管理組合でそこまでやることはかなり大変です。

以上の場合も回収できない管理費を管理組合が立て替えてマンションを維持して行くしかないのです。大体このような場合の区分所有者はいずれ破綻してマンションを失い次ぎの区分所有者から回収することになるのですがこのときに大きく影響するのが5年の時効なのです。

4.やぶれかぶれの法律改正提案

以上お分かりのように現在の区分所有法だけでは管理費等の滞納に対して最も保護されなければならない管理組合は完全に保護されていません。
他の法律との関係や整合性もあるかと思いますが、私は無理を承知で管理組合を保護する為に次のような提案をしたいと思います。

①「管理費等の事項は10年とする。」
先の判決でも裁判官が述べていました。「現在の法律に照らし合わせると時効は5年と言わざるを得ないが早急に対策を検討する必要がある」と。
「そんなこというなら最初から10年の判決を出せ!」と言いたいところです。

②「管理費等の滞納が一定期間または一定金額に達したら管理組合はマンションの競売を申し立てることができ、裁判所はこれを拒否してはならない。」
こうなると管理組合は保護されます。管理組合が競売の申し立てをしたときに抵当権者が競売を実施されたら困る時はおそらく抵当権者は債務者が滞納している管理費等を肩代わりして支払い「競売を実施しないで下さい」と言ってくるはずです。

③「管理費等に対する管理組合の差し押さえについては抵当権に優先する。」
これも強烈ですね。管理費等の差押と抵当権に基づく差押は抵当権が優先します。しかし先にも述べたとおり管理費等は抵当権の対象物件を維持するためにも必要な「共益費」です。よって管理費等は全てに優先するとしていただきたいものです。

④「債務者(滞納者)がそのマンションを賃貸して家賃収入を得ている場合は賃貸契約の内容にかかわらず家賃のうち管理費等についてはいつでも管理組合は賃借人から直接支払いを受ける権利を有する。」
この考え方も管理組合の保護が目的です。家賃のうち共益費(管理費等)に相当する部分はそれなりの保護を受けていますが賃貸借契約の内容によってはそうでもありません。契約の内容によっては家賃の中に共益費を認めない場合もありますので契約内容がどうであっても管理費は保護されるようにしていただきたいものです。

5.おわりに

あれこれかなり乱暴なことも申し上げましたが、実際に現場で管理組合のお手伝いをしていると必ず管理費等の滞納問題に遭遇します。そしてその解決には相当のエネルギーを伴います。かといって弁護士さんのような専門家に高額な費用を支払って解決するほどの余裕もありません。区分所有法の第8条だけで簡単に解決しない場面を経験した私としてはぜひ管理組合の保護を考えた法整備を実施して欲しいと思いました。
マンションの戸数は現在450万戸を超えているといわれます。国民の10%、首都圏に限って言えばもっと多くのマンション居住者の為にも今後この件に関しては私なりに意見を発信して行きます。


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