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ホーム > お知らせ&日記(ブログ) > マンション管理士 業務日誌 > 実は大規模修繕工事の談合を招いている、管理組合の心理と行動

2019年03月01日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所の重松です。

前回は、「大規模修繕工事における、悪質な設計コンサルタントの談合の手口」をご紹介いたしました。
専門的知識に欠け、時間的制約のある管理組合は、自分たちのために考え、動いてくれることを期待して設計コンサルタント(以下設計コンサル)に依頼します。しかし、その設計コンサルが工事会社らと結託し、時間をかけてコツコツ貯めてきた大切な修繕積立金を巧みにかすめとってしまうのです。

全く以て許しがたいことですが、なぜこうした被害が後を絶たないのでしょうか?

建設業界特有のアンチ・コンプライアンス体質」や「輪番制や素人などで構成される管理組合特有の組織・運営方法」、「大規模修繕工事が十数年に一度の特殊な工事であること」など、過去に書いてきたとおり様々な要因がありますが、前回ご紹介した悪質な設計コンサルタント(以下悪質コンサル)の手口が、「多くの管理組合に見られる心理や行動にピタリと当てはまる巧みな方法であること」も、大きな要因だと考えています。
今回は、この点を中心にご紹介していきます。

裏目に出る、管理組合「心理」と「行動」

管理組合を構成する理事会は専門家集団ではありません。
大規模修繕工事に特化した専門委員会が設置されることもありますが、その委員とて、ほとんどの場合、決して専門家ではありません。

そのような中で、多額の修繕積立金を使って行う一大事業を滞りなく遂行しようと考えた場合、より良い・安心・安全と思える進め方、あるいは、組合員から文句をいわれないような進め方、何かあった際に責任を追及されないような進め方をしようと思うのは、当然のことです。
そしてその結果、例えば以下のような行動をとります。

個人の思惑や恣意性は排除しないと・・・
談合等の不正が行われないようにしないと・・・
  • 公募しよう!
  • 入札形式なら、より安全だろう!
管理組合のお金は無駄に使わないようにしないと・・・
  • 出来るだけ安い設計コンサルや工事会社に発注しよう!
予算準拠主義(予算は超えないようにしないと・・・)
  • 予算内なら安い方が良い!
  • (一方で、高かったり追加工事を提案されても)予算以内なら、まぁいいか!
しっかりした会社にお願いしたいなぁ・・・
  • いろいろな条件をつけよう!
  • 安い方が良いけど、一社だけ極端に安い会社はちょっと怖いな・・・

いかがでしょうか?
どれももっともらしく、そして、理事会が説明しやすく、かつ、組合員も納得しやすい理由(行動)ではないでしょうか?

また、「何が問題なの?」「妥当な行動では?」と思われた方もいらっしゃると思います。
そう思われても決しておかしなことではないのですが・・・実は以下のように裏目に出るのです。

個人の思惑や恣意性は排除しないと・・・
談合等の不正が行われないようにしないと・・・
  • 公募しよう!
  • 入札形式なら、より安全だろう!
  • 悪質コンサルも堂々と応募してくる
  • 悪質コンサルにとって、実は入札形式は談合がやりやすい
管理組合のお金は無駄に使わないようにしないと・・・
  • 出来るだけ安い設計コンサルや工事会社に発注しよう!
  • 悪質コンサルは、安い設計費用で応募してくる
    ※安くしても、談合で回収できる仕組みになっている
  • 談合で十分に儲かる金額に調整した上で、安値を掲示した仲間の工事会社が選ばれるようにする
    ※安いと思って選んでも、談合で底上げされているので、そもそも安くない
予算準拠主義(予算は超えないようにしないと・・・)
  • 予算内なら安い方が良い!
  • (一方で、高かったり追加工事を提案されても)予算以内なら、まぁいいか!
  • 予算内で安値を掲示した仲間の工事会社が選ばれるようにする
    ※拠り所となる予算自体が、そもそも釣り上げられている場合も
  • 予算内で最大限にお金を取れるようにする
しっかりした会社にお願いしたいなぁ・・・
  • いろいろな条件をつけよう!
  • 安い方が良いけど、一社だけ極端に安い会社はちょっと怖いな・・・
  • 堅実で真面目な会社を遠ざけてしまうことも
  • 談合と無関係の工事会社が適正価格を出すと、横並びの中で極端に安く見え避けられてしまう
    実際は他が高いだけなのに、適正価格を出した工事会社が異常に見えてしまう
  • 一方で、条件を満たす場合や工事をしない設計事務所の場合等では、安さが優先されがち

いかがでしょうか? ご理解いただけたでしょうか?
以上のように、管理組合の心理・行動が、結果的に悪質コンサル(場合によっては悪質管理会社)による談合等の不正を引き起こす、あるいはやりやすくする要因になってしまっているのです

そして管理組合は、自分たちが妥当な判断・行動をしたと思ったまま(自分たちが騙されていることに気が付かないまま)、一大事業が無事に完了したと思いこみ、ほっとしているのです・・・。

なお、前回の「大規模修繕工事における、悪質な設計コンサルタントの談合の手口」を併せてご覧いただくと、よりご理解いただけると思いますので、よろしければそちらもご覧ください。

【イラスト】まんまと悪質コンサルに騙されたことに気付かず喜ぶ管理組合

無事終わったその裏で、 実はまんまと騙されていたなんてケースも・・・

真面目な会社を遠ざける管理組合

もちろん、大規模修繕工事の設計・監理等を生業としている設計事務所の全てが悪質コンサルというわけではありません
真面目にコツコツと取り組んでいる設計コンサルも大勢いらっしゃいます。

彼らは、裏で工事会社に談合をさせて多額のキックバックを要求するようなことはしませんし、自分たちの仕事に誇りを持ち、堂々と業務を行っています。

しかし、価格の安さや、一見すると誰もが良さそうに思える表面的な指標、時には過剰とも思える応募条件を重視してしまう管理組合の心理と行動が、実は彼らを遠ざけてしまっているのです

工事会社の選定についても同様ですが、管理組合の立場で考えれば、「○○もあった方が良い」と、ついアレもコレもとなるのは仕方がないことです。誰だって「しっかりした会社」に依頼したいと思いますし、悪質な会社に騙されたくありません。

しかし、昨今ニュースを賑わす談合事件や偽装事件等を見ても、一見して優良に見える、しっかりして見える会社なら安心!、という単純なものでないことはご理解いただけると思います。むしろ、業績への執着や圧力が強い会社の方が、不正に手を染めやすい場合もあります。記憶に新しい、地銀の不正融資問題もそのパターンです。

そして、そのような管理組合の心理・行動が、図らずも堅実で真面目な会社が選ばれない、あるいは応募できない状態を生み、結果として、それらを巧みに利用する悪質コンサルの台頭を許す要因になってしまっているのです・・・

悪質コンサルの被害にあわないためには・・・

マンションにとって大規模修繕工事は、多額の修繕積立金を使って十数年に一度行う一大イベントです。組合員がコツコツためた修繕積立金を不当に詐取されることは許されません。

では、どうしたらそのような被害にあわないようにできるのでしょうか?
対策を取られてしまうのであまり詳しく書けませんが、今回は、過去の補足もしながら2点ほどご紹介いたします。

【1】設計事務所(設計コンサル)は、見積金額や会社規模だけで選ばない

合計金額の大小だけで判断しない

【イラスト】見積書専門知識がない管理組合にとっては、見積書一つをとっても難解です。
そのため合計金額だけを見て判断しがちですが、設計事務所の見積書を確認する際は、合計金額だけでなくその内訳までよく見て比較し、「なぜ安いのか(高いのか)?」等、不明な点は質問をするなどして、工数や単価が妥当であるかを見極めるよう努めてください。

過去の事例として一つ挙げると、工事会社の評価書作成の工数が少ない場合は注意が必要です。

評価基準をよく考え、表面だけで判断しない

工事会社の場合は、工事の完成や引渡後の保証などの問題があるので、会社の規模や財務内容も含めた信用度(倒産リスク)は、重要な指標の一つになります。

もちろん設計事務所(設計コンサル)の場合もそれらを完全に無視するわけにはいきませんが、果たして同じような評価基準、優先順位で考えるべきものでしょうか? 過剰な条件をつけていないでしょうか? 表面的なスペックだけで判断しようとしていないでしょうか?

例えば・・・

  • 資本金は○千万以上!
  • 技術者(一級建築士)は○○名以上!
  • 図面と予算案を提出して!(契約前にタダで)

設計コンサルの業務はマンパワーが主体であり、単純な規模の大小よりも、実際にやってくれる担当者の人となりや、個人としての実力や経験等による部分が大きくなります

例えば一定以上のレベルにある管理会社であれば、フロントマンによって管理の質や満足度が大きく変わるのと同じ、といえば、少しはご理解いただけるでしょうか。

現在検討中であれば、本当にそれらが必要かどうか、どこまで優先するべきか、もう一度見直すことをオススメします。

時間をかけて面談し、書類やプレゼンだけで判断しない

困ったことに、悪質コンサルはプレゼン上手で対応も丁寧です。ですから、書類上だけでなく、対面上も、やっぱり「良さそうに」見えたりします。

従って、応募書類やプレゼン(資料)だけで判断するのではなく、じっくりと時間をかけて面談(ヒアリング)し、実際の担当者も含めて適任かどうか、信頼できそうかどうか判断することをオススメしています

面談やプレゼンの場に漠然と臨まない

直接話ができる面談やプレゼンの場は貴重な機会です。
その場の思いつきで聞くだけでなく、事前に質問する内容をしっかり考えておくなど、事前の準備も大切です

また、出来るだけ多くの人に参加してもらう、理事や修繕委員でない人も含め、出来るだけ多くの意見を求めることも有効な方法です。

重松マンション管理士事務所立会いの下、面談を実施している様子。
この時は、まず私が質問をした後に、各理事等が気がついた点などを質問していきました。

【2】セカンドオピニオンの活用や、設計事務所(設計コンサル)以外の信頼できるパートナーを起用する

しかしながら、準備や対応にかけられる時間にも限りがあります。
また、管理組合の心理を熟知している悪質コンサルは「良さそうに」見えるため、未経験の方が確信を持って判断することは容易ではありません。
それゆえ事態を重く見た国交省が、相談窓口を活用するよう異例とも言える通知を行ったのが実態です。

従って、自分たちだけでは自信がない場合、私たちマンション管理士をはじめとした、管理組合の立場に立ってくれる、信頼できそうな第三者にセカンドオピニオンを求める、または、パートナーに起用することが第二の対策になります

倫理規程があり、かつ、国交省が認める唯一の団体

マンション管理士を要している団体はかなりの数ありますが、国交省が認めている唯一の連合体は「日本マンション管理士会連合会」で、この傘下に各県一団体限定の都道府県マンション管理士会があります。千葉県であれば、一般社団法人千葉県マンション管理士会です。

このような団体に所属しているマンション管理士は、マンション管理適正化法の他にも厳しい倫理規程が課せられていますので、管理組合を騙したり、管理組合の不利益になるようなことに手を染めたりすることはありません
重松マンション管理士事務所のマンション管理士も全員マンション管理士会に所属し、さらに業界に先駆けて当事務所「独自の倫理規程」を整備し、業界初の「ノーリベート宣言」もしています

ちなみに、マンション管理士会に所属せずに業務を行っているマンション管理士も存在します(所属は義務ではありません)。お住まいの地域のマンション管理士会やその倫理規程とは無関係の場合もありますので、その点にはご注意ください。

もし、怪しい設計コンサルと契約してしまったら・・・

設計コンサルを選定したものの、「ちょっと怪しいかも・・・」とお感じの場合、あるいは、「怪しいか分からないけど、談合されずに工事会社の選定ができるかちょっと不安・・・」という場合でも、談合を防ぐことは可能です

設計コンサルに工事会社選定をやらせない

何より重要なことは「設計コンサルに工事会社選定をやらせないこと」、です。

前回の手口でご紹介したように、公募だろうが入札だろうが、悪質コンサルが工事会社選定を巧みにコントロールし、自分が意図する仲間の工事会社が選ばれるようにします。
また、彼らの仲間ではない工事会社も、彼らが仕切る工事だと分かると端から諦めて応募を控えてしまう場合があります。

ですから、「悪質コンサルを工事会社選定から排除すること」がもっとも有効な方法になります。ただし、実は内通者が・・・なんてこともあるので、工夫は必要です。

時にはやり直す覚悟を持つ

どうしても不信感が拭えない場合は、例えスケジュールに支障をきたすことになっても一旦中止し、納得できるまで調査したり、場合によってはやり直す覚悟が必要だと思います

当事務所は、設計コンサルとの契約後に不信感を持った管理組合からのご相談も多いのですが、例え契約後であっても、絶対に談合はさせません
実際、設計コンサルとの契約後にコンサルティングに入り、談合を防ぎ、数千万円の工事費用減額に繋げた例が幾つもあります。工事会社の選定を一からやり直した例も幾つもあります
もちろん、いずれの場合も、その後の設計コンサルの業務チェックにも目を光らせながら、工事完了までサポートしました。

さいごに・・・

最後の方はマンション管理士の宣伝になってしまった感もあり恐縮ですが、悪質コンサルは公表されているわけではありませんので、普通の管理組合がこれを見抜くことは困難です。
どのコンサルに尋ねても、「自分はホワイトだ!」といいますし、不適切な行為はやらない旨の誓約書にサインをしろといえば必ずサインをします

私たち業界の関係者はそれなりの情報をもっていますが、大変巧妙に行われるため、明確な証拠が出ることは滅多にありません。
それゆえ、マンション管理士といえども相応の経験やチェックスキル、情報網などがないとなかなか難しいうえに、その手口も進化・改良されていきます

一方で、最近では「談合はやらない」、あるいは、「重松事務所の案件では談合はやらない」、という工事会社も増えてきています

10年経ってもこうした記事を書くことになるのは嘆かわしい限りですが、管理組合が被害にあわないように、これからも考えを同じくする有志たちとこの業界を良くするために活動をしていこうと思っています。

なお、当事務所の「大規模修繕工事コンサルティング・支援」は、「設計事務所(設計コンサル)の選定」だけでなく、「管理組合の合意形成支援」「設計事務所の業務チェック」「工事期間中の、管理組合、設計事務所、工事会社間の各種事務調整」ほか、大規模修繕工事完了までをトータルサポートしています
悪質コンサルの存在を知って悩む管理組合はもちろん、しがらみや人数が多く合意形成が難しい管理組合、高齢化や小規模で人材不足の管理組合のほか、問題意識が高いが多忙な上経験が少なく、将来を見据えて早め早めに手を打ちたい築浅マンションでのご活用が増えています。
お困り事、お悩み事がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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