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エレベーターのリニューアル(交換・改修)1〜交換時期や方法、工期、費用について

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2018年08月17日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。

近年のマンションにおいてエレベーターはなくてはならない設備の一つですが、メンテナンス(保守点検)も含めてコストがかかる設備の一つでもあります。
また、例外なくエレベーターにも耐用年数があり、メンテナンスのみで永久に使い続けることは出来ないため、いずれリニューアル(交換・改修)工事が必要な設備でもあります。築年が経過したマンションが増える中、築30年前後のマンションでは、まさに検討中のところもあるのではないでしょうか。

そこで、今回から二度に分けて、実際に当事務所が関わったエレベーターリニューアル(交換・改修)工事を基に、工事の進め方やポイントなどをご紹介いたします。エレベーターのリニューアルというと、大がかりでちょっと難しいと思っていたり、あまりコストダウン出来ないと思っている方も多いかもしれませんが、進め方や状況によっては、限られた予算で効率良く使用期間を延ばしたり、工事費用を抑えることも可能です。

エレベーターリニューアル(交換・改修)のきっかけは?

エレベーターのリニューアルに際し、まずその必要性が気になるところだと思いますが、きっかけは、概ね以下の4パターンに当てはまるのではないかと思います。

管理組合のエレベーターリニューアルのきっかけ

  1. 長期修繕計画に基づいて
  2. 生産中止や部品供給終了に伴って
  3. 経年劣化(トラブル・不調)に伴って
  4. 最新の安全基準適合や省エネ効果など

エレベーターのリニューアル時期はいつ?耐用年数は?

そもそもエレベーターの耐用年数はどのくらいかご存知でしょうか?
国税庁の減価償却基準(法定償却耐用年数)では「17年」とされてり、メーカーは概ね「20〜25年」と公表しています。

また、国土交通省の長期修繕計画に関するガイドラインでは、15年目に補修、30年目に取替え(リニューアル)が記載されています
私が拝見するマンションの長期修繕計画では、25年〜30年目に更新が計上されている計画をよく見ます。きちんと長期修繕計画が整備されたマンションにおいては、このパターンが最も多いのではないかと思います。

エレベーターの耐用年数・交換時期

  • 国税庁の減価償却基準(法定償却耐用年数):17年
  • メーカー公表の耐用年数:20〜25年
  • 国交省長期修繕計画に関するガイドライン:30年目に取替え(リニューアル)
  • 実際の長期修繕計画:25年〜30年目に計画されているケースが多い

※重松マンション管理士事務所で実際に確認したものに基づく

生産中止や部品供給終了が引き金になるケース

次のパターンは、メーカーによる生産中止やその後の関連部品の保存期間満了に伴い、「まだ何とか動いているが、この際リニューアルしよう」というケースです。この場合、想定外のため、長期修繕計画よりも早めのリニューアルになることが多い印象です。

なお、この場合、通常ならメーカーからその旨を伝える連絡が、何らかの形で届きます。
もし心当たりがないようでしたら、一度メーカーに問い合わせしてみることをオススメいたします

経年劣化(トラブル・不調)に伴うリニューアル

また、経年劣化によるトラブルが頻発してリニューアルに踏み切るパターンも見られます

当事務所においてはこのような事例はありませんが、耐用年数に達しない状況の場合は、言わば不測の事態で資金面で難しいマンションもあると思います。また、長期修繕計画に記載がない場合も同様ですので、もし長期修繕計画に記載がない状態でしたら、もしくは、その確認が取れていないマンションなら、エレベーターの耐用年数と共に、一度長期修繕計画をきちんと見直すことをオススメいたします

最新の安全基準適合や機能性、省エネ効果などを狙って(利便性や資産価値向上を考慮)

最近のエレベーターは性能が良く、どこのメーカーも、省エネ効果があることや、安全性に関する最新の法規に適合することが出来るというメリットを謳っており、中には営業マンが来るケースもあるようです。

当事務所においては、これが主目的となるリニューアル事例はありませんが、生産中止等の理由からリニューアルに至ったマンションにおいて、前述のようなメリットが、早めのリニューアルに拍車をかけているようにも感じています。

リニューアル工事の費用は?

気になるエレベーターリニューアルの費用ですが、当事務所が関わるマンションにおいては、リニューアルの内容に関係なく、1基当たり1,200万円〜1,500万円で計画しているマンションが多いようです。次回でご紹介する事例では、一基あたりの見積もりが800万〜1,200万でした。小規模なマンションでは特に、計画的に資金を積み立てておかないと厳しい金額ですね。

エレベーターリニューアルの費用(予算)

1,200万円〜1,500万円/1基で計画しているところが多い

※重松マンション管理士事務所の関係するマンションに基づく

リニューアルするお金なんてない!どうする!?

リニューアルというと前述のような費用がかかりますし、とても大がかりなイメージもあるため、やりたいけどお金がない・・・というところもあるかもしれません。

しかし、実際にはいろいろな方法があり(後述「リニューアル工事の進め方・種類」参照)、重要度の高い部分だけ実施することで、費用を抑えることが可能です。また、次回ご紹介いたしますが、競争原理を働かせることで、結構なコストダウンも見込めます

リニューアル工事の進め方・種類

一口にエレベーターのリニューアルと言っても、幾つかの選択肢があります。
大きく分けると「フルリニューアル」と「部分的リニューアル」の2通り、そして、細分化すると「①全撤去リニューアル」「②準撤去リニューアル」「③制御リニューアル」という3つの方法が一般的です。
分類にもいろいろな考え方があると思いますが、私なりに管理組合目線でまとめると以下のような感じになります。

リニューアル工事の進め方・種類

  1. フルリニューアル:既存のエレベーターを、全て交換して新しくする方法
    ※一般的に「①全撤去リニューアル」と呼ばれるやり方が該当します

  2. 部分的リニューアル:使えるものは継続使用しつつ、部分的に交換する方法
    ※一般的に「②準撤去リニューアル」「③制御リニューアル」と呼ばれるやり方が該当します
    ※上記②③に属さない、あるいは派生メニューのような形で、もっと限定的に、必要な部品のみ行うやり方もあります。この場合、段階的に必要な部品を交換していくというやり方が可能な場合もあります

①②③の違いは、大雑把に言うと「一度にどの部分をリニューアルするか」という「程度の違い」です。
エレベーターというと、真っ先に私たちが乗る部分(「かご室」などと呼ばれます)を思い浮かべるのではないかと思いますが、「かご室はリニューアルしない」という選択肢もあるのです。

①>②>③の順に大がかりな工事になり、時間もコストもかかりますが、それぞれの特徴やメリット・デメリット等を一覧表にしましたので、ご参考にしてください。なお、出来るだけ包括的にまとめたつもりですが、諸条件により変わる部分もありますので、目安として捉えていただければ幸いです。

 

フルリニューアル

部分的リニューアル

①全撤去リニューアル

②準撤去リニューアル

③制御リニューアル

概要

全て撤去し、最新のものに総交換

既設品のごく一部を残して交換

※建物に固定されている三方枠、敷居等

制御系の交換・機能追加が中心
三方枠やかご室等は継続利用

建築確認*1

必要

要確認
※必要な場合が多い

一般的に不要
※必要な場合もある

工期

製作:約120日
工事:約25〜40日

製作:約120日
工事:約15〜25日

製作:約90日
工事:約3〜15日

エレベーターが使用できない期間


(25〜40日程度)


(15〜25日程度)


(3〜15日前後)

コスト

メリット

  • 最新の法規に対応可能
  • 大手メーカーへの切替可能
    (例:三菱→日立)
  • 最新の法規に対応可能
  • 工事中の振動・騒音が少ない
  • 既存の三方枠と敷居を継続利用するため、工期短縮が可能
  • コストが安い
  • 既存の三方枠や敷居、かご室などは継続利用するため工期が短い
  • 必要に応じた機能を追加できる

デメリット

  • 工期が長くE/Vが使えない期間が長い
  • 工事期間中の振動・騒音が大きい
  • 工期が長くE/Vが使えない期間が長い
  • 既存の三方枠と敷居を継続利用するため、他メーカーの参入が難しい(他メーカーへの切替は要全撤去)
  • 交換しない部分について、別途検討・計画が必要
  • 最新の法規全てに対応できない場合がある(対応しきれない場合は「既存不適格」のままになる)
  • 交換しない部分について、別途検討・計画が必要

注意点

  • 既存の昇降路を利用するので、従来の積載荷重や定員を確保できない場合がある
  • 既存の昇降路を利用するので、従来の積載荷重や定員を確保できない場合がある

 

*1:「建築確認」とは、建築基準法に基づき、建築物などの建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを着工前に審査する行政行為(Wikipedia

用語解説(三方枠/敷居)

油圧式エレベーターのリニューアル・制御リニューアルについて

ロープ式?油圧式? エレベーターの種類に注意!

エレベーターには、巻上モーターの回転速度を制御してかごを昇降させる「ロープ式」と、油圧ジャッキの圧力でかごを昇降させる「油圧式」の2種類があります(後述「2.ロープ式と油圧式」参照)。最近では、省エネや廃油処理その他機能上の問題から、新規の乗用エレベーターに油圧式を採用するメーカーはなくなりました(特殊仕様や重量運搬用など一部例外を除く)。

大手エレベーターメーカーで油圧式のエレベーターをリニューアルする場合は、「全撤去リニューアル」もしくは「準撤去リニューアル」が原則となります(メーカーによっては、油圧式からロープ式への部分的リニューアルは可能)。

油圧式エレベーターのリニューアルとなった場合、前表のように工事期間が長くなり、エレベーターが使えない期間も長くなります。1基しかない、逆に複数台あり改修費用捻出が困難、旧機器の撤去等で振動騒音が心配などと、頭を悩ます管理組合様が今後増えることも考えられます。

油圧式制御リニューアルとは

しかし、一部の独立系メーカーでは、油圧式エレベーターを、油圧式のままリニューアルする工法も開発しています。
「油圧式制御リニューアル」とも呼ばれていますが、主に制御盤、電動機、バルブ、ポンプなどの主要機器を更新し、その他は再利用する工法です。大手エレベーターメーカーからの部品供給停止はこれら主要機器のみが対象であり、その他の油圧ジャッキやかご本体までは経年対象ではないことから、工期や費用面で採用される管理組合様も増えているようです。

構造や電動機の容量などは変わらないため、スピードアップや省エネその他機能面の向上は期待できませんが、限られた予算かつ短工期でより長く延命させる手法としては検討する価値がありそうです。

ちなみに、ご利用のメーカーや機種によって、油圧式制御リニューアルが出来ない場合もあるようですので、見積取得の際には現場調査を依頼されることをオススメいたします

次回は、実際に「③制御リニューアル」を行った事例と、エレベーターリニューアル(交換)検討時に知っておくと良いポイントをご紹介いたします。

もっとよく理解したい人のための「エレベーター基礎知識」①

管理組合主導でエレベーターリニューアルを実施するなら、ある程度の知識は必要です。
そこで、今回から2回に分けて、エレベーターのリニューアルを行う上でよく話題になる、検討が必要になる部分を中心に、幾つかご紹介していきます。
次回は「3.エレベーターの安全性」「4.エレベーターの耐震性」「5.エレベーターの保守(メンテナンス)」について、ご紹介いたします。

1.運行速度

エレベーターの運行速度は結構話題となりますが、「m/分」で表記します。
一般的なマンションでは45m〜105m/分位でしょうか。定員も6〜11名程度です。マンションの階高を3mで計算すると10階建てのマンションなら1階から10階までを15秒から40秒程度で上がっていきます。
超高層マンションになるとこの速度が格段に速くなり、180m/分、積載量1,150〜1,300㎏、定員17〜20名前後が一般的な設計になるようです。

ところで、エレベーターの運行速度については日本の三大メーカー(日立、三菱、東芝)が凌ぎを削っており上昇速度では中国上海のビルに設置された三菱製のエレベーターが世界最速(1,230m/分)、下降速度では横浜のランドマークタワーに設置されたエレベーター(三菱製)が世界最速(750m/分)といわれています。

ちなみに、上昇時と下降時とで速度が異なっているのは、技術的な側面ではなく乗客の恐怖心からと言われています。
現在、日立製作所が中国広州のビルに設置する予定のエレベーターの上昇速度は1,260m/分でこれが近々世界最速となる予定です。時速にすると75.6㎞、富士山の頂上まで3分で到着する計算ですね。

2.ロープ式と油圧式

エレベーターにはロープ式と油圧式の2種類があります。

ロープ式は、人が乗るかごと釣合おもりがワイヤーロープで「つるべ式」に繋がっており、巻上モーターの回転速度を制御してかごを昇降させる方式です。
以前は、巻上モーターを設置する機械室を屋上に建築する必要があったので、建築基準法の高さ制限や斜線規制の影響を受けるため後述する油圧式が採用されることもありましたが、巻上モーターをエレベーターピットの最下部等に設置することが可能な「ルームレス」タイプの登場によりその問題が解消したので、最近では圧倒的にロープ式が多くなりました。

油圧式は、その名のとおり作動油を使用し油圧ジャッキの圧力でかごを昇降させる方式です。
油圧式の場合、下降時にはシリンダから油を抜くだけなので、圧力がかかるのは上昇時だけとなります。油圧配管さえ繋がっていれば、機械室を屋上に設置する必要がなく自由に配置することが可能です。そのため建築基準法の規制を気にせずに設計できるので、マンションでは分譲戸数の確保などにもメリットがあり、割と多く採用されてきました。
しかし、油圧ジャッキを使用しているため速度が遅いことや、設置階数にも限界があること、さらにロープ式と比較するとモーター出力が大きいことや、冬場には油の温度を上げる必要があるため消費電力はかなり多くなり、最近の「省エネ」には向いていない等のデメリットがあります。

そのような理由で、特殊仕様や重量運搬用の油圧式エレベーターを除き、新規に製造している大手メーカーはありません。

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効率の良い理事会運営の秘訣

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2018年03月14日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。だいぶ暖かくなってきましたね。学校や会社では新しい年度に入るところが多いと思いますが、管理組合においても、そろそろ総会の準備にかかっている理事会も多いのではないでしょうか。今回は、過去の当事務所のニュースレターを参考に、「効率の良い理事会運営の秘訣」と題して、理事会の役割や理事会の問題点をお伝えしたうえで、効率の良い理事会運営を行うためのヒントをお話しさせていただければと思います。
これから、理事になる予定の人にはぜひ読んでいただければと思います。

1.理事会とは

①業務執行機関

「理事会は管理組合の業務執行機関」といわれています。株式会社における取締役会のようなものを連想する人が多いと思います。取締役会に関する規程は、会社法等に規定されていますが、実はマンション法ともいわれる区分所有法には、理事や理事会の定めはありません。(管理組合法人の場合は「理事」と「監事」の規程があります。)
基本的には、管理組合の意思決定(管理・運営)は、区分所有者全員の総会で決議し、多数決原理で運営していきます。
ただし、戸数が多いマンションにおいては、そのような運営方法は非効率的なので、法律では「管理者」をおいて、管理者が管理組合の業務を遂行することができる規程を設けています。※管理者に関しては後述します。
では法律上も明確な規程がない管理組合の理事や理事会が、なぜマンション管理に関する重要な位置付けとして議論されてきたのでしょうか?
国土交通省が公表している「マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」といいます。)」があります。これは、マンション内での住民間のトラブルを防止し、適正な建物管理と快適な生活を目的として、有識者が集まって昭和57年(1982年)に作成されたものです。
途中で何度かの改訂作業を経て、2016年の3月に最新版が公表されています。
この標準管理規約の中に、理事会が行うべきことや理事長を含む各理事の業務内容等が規定されています。
標準管理規約は法律ではありませんが、マンション管理組合においてはマンション管理のバイブル的な存在として位置づけられていますので、多くの管理組合はこの標準管理規約を採用して管理組合内に理事会を設け、理事長が中心となってマンション管理を行っています。

②責任者はだれ?

会社の責任者は社長です。ですから、一般的な考えからいうと管理組合の責任者は理事長となります。
ところが会社の社長には強大な権限と責任がありますが、管理組合の理事長はそうではなく、理事会は主に理事の合議制で運営されます。
一般的には、会社の社長や取締役は経営能力のあるプロや優秀な社員の中から選ばれるのに対し、管理組合の理事は、多くの場合は区分所有者の中から毎年輪番制で選ばれ、さらに理事の互選(場合によってはじゃんけんやあみだくじ)で理事長が選出されます。
ですから、選ばれた理事長が必ずしも能力があるとは限りませんし、そのような理事長に強大な権限や責任を与えることはできません。また、そんな重い責任や権限を与えられるなら、怖くなって誰も理事や理事長をやりたがらなくなります。実は標準管理規約では、「理事長は理事会の決議を経て●●を実行する。」という規程がほとんどです。このような合議制の運営の方が日本の風土になじむと考えたからでしょうか。
ちなみに、標準管理規約において理事長が理事会の決議を経ないで行うことができる行為は、

  1. 通常総会の招集
  2. 保険金の請求と受領
  3. 災害時における保存行為

くらいしかなく、権限というよりは「義務」に近いものですね。

③理事の責任は?

会社は出資者からのお金を預かって、利益の追求を目的として活動し、取締役は重い責任と多額の報酬がありますが、管理組合は利益を追求するのではなく、マンションという建物の維持・管理が主目的です。ほとんどの場合は無報酬か貰ってもお小遣いにもなりません。ですから、そもそもの目的が違います。
とはいうものの、管理組合が管理する資産は、マンションの規模によっては何億円、何十億円になります。高額な区分所有者の資産を適正に管理していくには、それなりの責任が伴うと誰もが考えます。
前述のとおり、区分所有法には、「管理者」という規程があります。管理者には、①保存行為、②管理規約で決められた行為、③総会で決まった事項を実行する権限が与えられます。
また、同法において「管理者はその職務において区分所有者を代理する。」とありますので、管理者がその職務内で実施した行為は、管理者個人の責任ではなく区分所有者全員の責任となります。
これを、理事や理事長に置き換えて考えるのが一般的な考えとなっています。
つまり、理事会が管理規約や総会の決議に基づき実施した行為は、理事長(理事)の責任ではなく区分所有者全員の責任ということです。ですから、違法行為や善管注意義務違反等がない限り、理事会が行った行為(業務)の結果に、理事が責任を負うことはありません。

2.多くの理事会が抱える問題点

①自分たちが決めたことを自分たちではやれない。

会社の場合は、経営方針、営業戦略、予算などを取締役会で決め、所定の手続きのうえ、自分たちでスピーディに実行します。そしてその結果について責任を負います。
ところが、管理組合の場合、事業計画や予算案は総会の議決事項となっており、年に1回開催される通常総会において決定されます。総会に諮るのはその年の理事会、執行するのは翌年度の理事会となります。1年で理事全員が入れ替わってしまう管理組合が約6割(平成25年度マンション総合調査)ですから、多くの管理組合では「前期の理事会が決めたことを今期の理事が引き継いで実行する。」ことになります。
また、理事会が行うべき業務は、保存行為のほかは、管理規約と総会決議に基づくことになりますから、業務範囲はかなり限定されます。
「総会では承認されていないし、管理規約にも規程がないけれど、マンションにとって良いことから即実施しよう。結果の責任は私たちがとればよい!」といって実行することはできません。そんなことをしたら、結果に対する責任ではなく、そもそもそのようなことをやったことに対する責任を問われることになります。
どうしても自分たちでやりたいことができた場合は、臨時総会を開催して承認を貰ってから自分たちの理事会で実行するか、やりたいことを次年度の総会に諮ったうえで、次年度も理事を継続して実行するかになります。ですから、効率という点ではとても非効率的な運営となります。

②無責任体質

前項で述べた通り、理事会が違法行為や善管注意義務に反しない限り、つまり普通に業務を行っている限り、責任を問われることはありません。
その反面、

  1. 予算は総会で承認されているからその通りに使えばよい。
  2. 自分たちは余計なことは考えず、前の理事会が決めたことだけをやっていればよい。
  3. 面倒なことは管理会社に任せておけば何でもやってくれる。


このように考えて「早く1年たって欲しい」となると、いわゆる無責任体質となります。
自分が本業としてやっている仕事や自分の家計を考えるときとはえらい違いです。
そうしているうちに、正しい判断力を行使することなく、問題を先送りにしたり、無駄なコストを垂れ流したりする結果になることもあります。

③専門性に乏しい理事で高額の資産管理をやらなければならない

マンション管理には相当高度な専門知識(法律、技術、財務、保険、資産運用etc...)が必要です。区分所有法に管理者の規程がある趣旨は、管理者という外部の専門家に管理をさせることを前提としているといわれています。欧米でのマンション管理は多くがこのシステムを採用し、所有と管理を切り離して合理的に考えています。
しかし、日本の理事会では、居住者から選ばれた理事の合議制で運営されますので、多くの場合、理事会にマンション管理の専門家はいません。その場合は、理事だけで物事を考えて正しい結論を導き出すことが難しいので、結局は決断を先送りにしたり、ルーティンワーク的なことだけをやったりする理事会になってしまいます。

3.じょうずな理事会運営のヒント

それでも、マンションを購入したからにはいつかは理事の順番が回ってきます。
以上のように、マンション管理組合の理事会は問題が多いのですが、理事になったからにはなるべく効率の良い理事会運営を行い、管理組合の利益、延いては区分所有者全員のためになるような運営を心掛けたいと思うはずです。そこで理事会を効率的に行うためのヒントを私なりに考えてみました。

①年間の課題を決めて、毎月進捗状況を確認する。

何度も申し上げますが、理事会でやるべきことは管理規約で決められた業務と総会で決議された事項です。ですから、今年の目標等は比較的簡単に決めることができます。
年度の初めにその項目を整理して年間スケジュールを決め、毎月進捗状況を確認しながら議論をすると、効率の良い議論ができます。
案件ごとに結論を出す期日を決めておき、それを目標に議論をしていけば効率が良くなります。

②会議にダラダラと時間をかけない。

私が拝見してきた多くの管理組合のうち、効率の良い運営をやっている管理組合は、総じて理事会等の開催時間が短いです。普通は1時間半から2時間。どんなに掛かっても3時間以上やっている管理組合はありません。一方、効率の悪い管理組合の理事会は最低でも3時間、酷い時には夕方から始めて午前様までやっているときもあります。こんなことを続けていれば、理事も理事会に出たくなくなり、だんだん欠席者も多くなって理事会自体が機能しなくなったり、場合によっては成立しなくなったりすることもあります。
もし、自分が勤務している会社において、こんな長時間の会議をやっていると、今はそれだけで自分の評価が下がってしまいます。
※昔は、いつまでも残業をしたり、長い時間会議をしたりしていると「よく働くやつだ。」といわれた時代もありましたが...
ではどうすれば理事会の開催時間を短縮することができるでしょうか。

1)理事会の議題をあらかじめ決めておく

理事会での審議(検討事項・報告事項)事項をあらかじめ決めておき、事前に理事に配布しておくととても効率が良くなります。議題を決めるのは、一般的には理事長が良いと思いますが、理事会の事情によっては、別の理事が担当しても構わないと思います。今は、電子メール等も活用できますので、前回までの理事会の結果から判断したり、管理会社と協議しながら予めまとめておいたりするとよいでしょう。また、理事会で検討してもらいたい事項がある場合は、事前に理事長に連絡して、審議事項、理由、必要な資料等を提出しておくことも可能です。

2)審議事項を優先して

当日の理事会で必ず決定(議決)しなければならない事項を最優先で審議していきます。
そして、報告事項はあとに回し、終了時間が来てしまったら「時間が無くなったから、報告事項は読んでおいてください。」とし、何が何でも最初に決めた時間に理事会を終了する癖をつけていけばよいと思います。最初のうちは、ほんとうにこれ良いのかと思うかもしれませんが、何回かやっているうちにきちんと時間内に収まるようになります。経緯の説明や意見の表明をする場合も常に時間を考えて発言していれば、他の人の持ち時間のことも考えるようになりますので段々時間が短縮できるようになります。「俺は先月の理事会を欠席したので、その時の経緯をもう一度説明してくれ!」などはもってのほかです。
また、当日結論を出さないで良い検討課題等を議論する場合も、あらかじめ決まった時間内で議論をすることとし、時間が来たら直ちに止めるようにするとよいと思います。

③必要に応じて外部専門家を活用する

理事会は、あらかじめ決められた課題を審議、決議して、たんたんと処理していくことが基本ですが、居住者からの問合せ、要望、苦情などに対応しなければならないときもあります。そのような場合、住民からの要望等を理事会で一つずつ取り上げて対応策を審議していたらそれこそ時間がいくらあっても足りません。
そんな時は、管理会社や専門家などを上手に活用するとよいと思います。
例えば、騒音や近隣関係の問題、共用設備に関する問合せや苦情、マンションを良くしたいための提案など様々ですが、管理会社や顧問マンション管理士等はそれらに関する経験が豊富で、対応策や解決事例なども多く持っていますので、事前に問題を相談しておき、その解決方法や事例等を理事会(できれば理事会前)において紹介してもらう等すれば、無意味な議論を行う必要がなくなります。
管理組合で発生する様々な問題を解決するには、管理規約や関連する法律(特に区分所有法)に基づいて処理していく場合がほとんどです。これを専門的知識が少ない理事だけで何時間議論しても、結論が出ないことは容易に理解できると思います。そんな時に専門家に相談するとわずか数分で問題が解決することもよくあります。
余談ですが「パーキンソンの凡俗の法則」というものがあり、「多くの人は、自分が分からないような専門性の高いことについては議論に口出しをしないが、誰もが知っている(または知っていると思っている)ことについては、議論の本質とはかけ離れたどうでもよいことであっても時間を使って議論をしたがる。」という法則だそうです。理事会でこんなことをやられたら議長(理事長)はたまったものではありません。ご自分の理事会をご覧になって思い当たる節はありませんか?

4.さいごに

あくまでも私見ですが、理事会にかかる時間と適正な管理組合運営は反比例していると思います。

  1. 理事会が長時間になる。
  2. すると、、議論がつまらないだけでなく心身ともに疲れる。
  3. そして、欠席する理事が多くなる。
  4. そうなると、理事会が適正に機能しなくなり、効率も悪くなる。
  5. その結果、管理組合の資産価値がきちんと維持できない。

という「負の連鎖」に陥ってしまわないよう皆様方で注意していただければと思います。

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総会議事録の作成を失念し非訟事件として訴えられた事例

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2018年02月06日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。
区分所有法には第三章(第71条以下)に罰則規定があります。
いくつか例を挙げると

  • 規約を保管しなかった場合
  • 規約や総会議事録の閲覧を拒否した場合
  • 総会議事録を作成しなかった場合や虚偽の記載をした場合
  • 管理組合法人に関する登記を怠った場合

等々は、管理者(理事長)、管理組合法人の理事、総会の議長等に、過料20万円が科せられることになっています。
とはいうものの、専門的知識に乏しい役員だけで運営する場合、管理規約がどこに保管してあるかも不明な場合や、総会(特に臨時総会)の議事録作成を忘れてしまう場合もありそうです。
実は、私が大規模修繕工事のコンサルティングでお世話になった管理組合で、臨時総会の議事録を作成することを失念し、組合員から非訟事件として訴えられた事例がありましたのでご紹介いたします。

臨時総会

大規模修繕工事に関する臨時総会を開催し、議案は可決されました。
この管理組合は、管理会社と管理委託契約を締結しており、管理委託契約書の中には総会議事録の素案作成も業務として含まれていましたが、当日はたまたま担当者の都合がつかず、臨時総会へは出席していませんでした。
そのため、議事録は理事会で作成することとなり、私も議事録の素案を理事長に提供していました。
しかし、理事長も慣れていないことや、ご自身のお仕事が忙しかったこともあり、その後の作業を管理会社に依頼することを忘れていたようです。

過料事件

ところが約1年後に、ある組合員から過料事件として裁判所に通知されてしまったのです。
組合員から裁判所に提出された「過料事件通知書
内容は、「当時の臨時総会の議長であった理事長が、議事録を作成していないので区分所有法の規定に基づき過料に処すべきもの」でした。
この方は、過去には理事長職も経験された方でしたが、普段から管理組合運営にいろいろとご意見をお持ちのようで、時の理事会とはいつも対立関係にある方でした。
当然ながら当時の理事長はびっくりして私に相談されました。
私も、まさかこんなことになるとは思っていなかったとはいえ、議事録の作成作業を最後まで確認していなかったという反省もあります。
そこで当時の関係者(役員、管理会社、私)が集まって対応策を検討することになりました。

対応策の検討

当時の理事長の記憶も定かでなかったので、関係者の記憶をたどったり、管理会社や管理事務所の保管場所も探したりましたが、やはり議事録は作成されていませんでした。
また、裁判所からは所定の様式に基づく「陳述書」を提出するように指示がありましたので、そちらも提出する義務があります。
私は、専門家にも相談した結果、以下のことを陳述書に書いて提出するようにお勧めしました。

  1. 議事録は作成していなかった。怠慢であったことは認める。
  2. その理由と当時の状況の説明
  3. 遅れたけれど直ちに総会議事録を作成した。
  4. 一般的なマンション管理組合の理事会運営の実態
  5. 不処罰としていただきたい。

提出した陳述書

裁判所の判断

約1か月後に裁判所から決定通知が来ました。
私たちの主張が認められて、当時の理事長もほっとしたみたいです。

反省

戸数も少ないマンションで管理会社に管理を全面委託しているマンションは多いと思います。私のマンション(35戸)もそうです。
普段は、理事会議事録の素案も含めて総会議事録素案等は管理会社が作成してくれ、理事長は簡単に確認して署名・押印をすれば済むようになっています。
今回は、総会に管理会社が出席してなかったことを忘れ、ついいつもの調子で進めてしまった結果トラブルを招いてしまいました。
このように訴えられることは稀でしょうが、議事録の作成にかかわらず規約原本の保管等も理事会がきちんと把握しておく必要があると思いました。

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マンションの損害(火災)保険について

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2018年01月24日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所の重松です。
今回は、ほとんどのマンション管理組合が付保している損害保険について書かせていただきました。
高経年マンションにおいては、最近の保険料の大幅な値上がりで驚かれていると思いますが、そんな管理組合にとってもリスク(危険)管理のヒントになれば幸いです。
なお、文中によく出てくる「保険料」は、加入者が保険会社に支払うお金で、「保険金」は、事故が発生した時に、保険会社が契約に基づき加入者に支払うお金のことです。

1.損害保険の歴史

リスク管理の考え方は、紀元前からあるといわれ、古代中国の船荷の輸送方法(複数の船に分散して荷物を輸送する。)が起源であるとか、保険については14世紀ヨーロッパの貿易商が、海上貨物の保険制度をスタートさせたことがその始まりとかいわれています。
そういえば、損害保険会社の社名には「●●海上」という名称が多いのもうなずけます。
17世紀後半になると、ロンドンのロイドコーヒー店に多くの保険引受人が集まり、海運や貿易に関する様々な情報を収集するようになり、会員制の保険組合ができ、これがいわゆる「ロイズ(Lloyd's)」 の始まりといわれています。
そして日本においては、明治維新以降に本格的な保険会社が誕生して現在に至っています。

2.マンションにおけるリスク管理の考え方(手段)

マンションにおけるリスク管理は、物に対するリスクと損害賠償に対するリスクの2つに分類されますが、まずはそれらのリスクに対する管理手段等を考えてみましょう。

①リスクの回避

この考え方は、リスクの発生を回避するというもので、危険な場所には近づかないという考え方です。例えば紛争や戦争が起こっている国への旅行を中止したり、自動ブレーキのついた車を運転したりするなどです。マンションの場合は、火災が発生しないよう不燃性の内装材料を使用したり、建物をコンクリート造で設計したりすることなどですが、これらのことは建築基準法や消防法等の法律で必須事項になっている場合がほとんどです。

②リスクの軽減

リスク発生時の損害を極力低く抑えようとする考え方です。
例えば、車を運転する時にはシートベルトをするとか、エアバッグ付きの車を選ぶなどです。
マンションの場合は、旧耐震基準の建物であれば、耐震補強を実施し、損害の発生を軽減させる工夫などがそれに当たります。

③リスクの保有

全てのリスクに対応することができれば一番よいのですが、それにはかなりの費用が掛かることが予想されます。
リスク発生時のために、一定額の貯蓄をしておくとか、お互いが助け合う互助制度や組合制度を構築しておくなどがその考え方です。
マンションにおいては、修繕積立金を積み立てておくなどがそれにあたると思います。
※修繕積立金は、原則として計画修繕のために積み立てられるものですが、標準管理規約単棟型第28条第1項(修繕積立金の使途)第2号に「不測の事故その他特別の理由」が規定されています。

④リスクの移転

どのような準備をしておいても、リスクを完全に排除することはできません。
ですから、リスクが発生したときに、その損害を経済的に解決できる方法を予め準備しておく考え方があります。これが生命保険や損害保険の考え方です。

3.損害保険の基本原則

損害保険には、その制度を支えている重要な基本原則がありますので、その原則を以下にご紹介します。

①大数の法則

精巧に作られたサイコロを6回振ったとしても、1から6までの数が一回ずつ出るとは限りません。しかし、6万回振ったら、600万回振ったらどうでしょうか?
その場合は、多少の誤差はあっても1から6までの数がほぼ同じ数だけでてきます。確立上当然のことですが、これが「大数の法則」です。
個々の場合を見ると偶然と思われる事故でも、全体からみると一定の確率で発生しており、保険の統計的な基礎数値となっている法則のことです。
マンションにおける火災や漏水事故も、多数のマンションを観察すれば、一定の発生頻度を予想することが可能になります。

②収支相当の原則

保険は、原則として加入者が支払う保険料の範囲内で運営・処理されることを前提として成り立っています。
事故が発生した時に加入者に支払う保険金に充当する「純保険料」と、事業運営のための経費等に充当される「付加保険料」があり、純保険料の総額と保険金の支払い総額は一緒でなければなりません。これを「収支相当の原則」といいます。
具体的な計算例として、マンションが100万戸あった場合、火災事故の発生件数が年間に2,000件で、1件当たりの平均被害金額(支払保険金)が1000万円と想定してみましょう。
保険金総額は、1,000万円×2,000件=200億円となりますので、必要な保険料は200億円÷100万戸=2万円/年間になります。
保険業法で、保険会社が、顧客獲得のために勝手に値引き販売をしたり、過剰な保険金を支払うことが禁止されている理由も「収支相当」でなければならいことにあります。

③給付・反対給付均等の原則(公平の原則又はレクシスの原則)

例えば、木造の戸建住宅と鉄筋コンクリート造のマンションに保険をかけるとします。どちらも評価額は5千万円とした場合、火災が発生するリスクは木造住宅の方が高いことは容易に理解できます。だったら、加入者が支払う保険料は、木造住宅の方がマンションよりも高くなって当然ということです。
専門的にいうと、加入者が負担する保険料は、保険事故が発生する確率と保険金を乗じた額と同じでなければならないという原則です。
マンションでの漏水事故を考えた場合、築浅のマンションと高経年マンションではその発生率が全く違います。最近は、高経年マンションの保険料がとても高くなっているという理由はそこにあります。

④利得禁止の原則

損害保険の場合は一部の例外を除き、その保険で利益を得てはいけないという原則があり、これを「利得禁止の原則」といいます。例えば1億円の保険契約をしていても、損害額が1千万円だったら貰える保険金は1千万円です。わざと事故を起こし、保険金で儲けようとする行為を防止するためです。
損害保険契約をする場合は、十分な補償をしてもらえるように考えて契約することが大事ですが、必要以上の金額で契約をしても、高い保険料を支払うだけになってしまいますので、検討が必要です。

4.マンションに付保する損害保険の代表例

①物保険(基本保証)

一般的には「主契約」といわれ、契約する保険の基本的な部分です。火災保険がベースで、特約としてその他のさまざまな補償がついています。契約金額(保険金額)はマンションの再調達価額 の●●%という方法で決定し、その金額に応じた保険料を負担することになります。鉄筋コンクリート造のマンションの場合は、火災による全損は考えられませんので、100%の契約をする必要はありませんが、30~60%で契約している管理組合が多いようです。また、マンションでは火災の発生よりも、悪戯や飛来落下物等の外的要因による破汚損の方が圧倒的に多いので、どのような特約を付保するかも検討のポイントになります。水害の可能性がほとんどない高台のマンションに、「水害保証特約」を付けたりしている管理組合を見かけますが、専門家にも相談しながら再検討されたらよいと思います。

②施設賠償責任保険

前述の火災保険は、マンションが被害を受けたときの補償を目的とした保険ですが、施設賠償責任保険は、マンション管理組合が維持・管理する共用施設に原因(管理の不備等)があり、第三者に損害を与えた場合、その損害賠償責任を担保してくれる保険です。
共用部分である給水管からの漏水で、居住者の住戸を水浸しにしてしまったとか、マンション内公園の遊具の管理状況に問題があり、幼児がけがをしたとかなどが代表的な事例で、その場合は管理組合に損害賠償責任が発生しますが、施設賠償責任保険を付保していれば保険でカバーできます。

③個人賠償責任保険

この保険も賠償責任保険ですが、対象は管理組合の共用施設ではなく、マンションの居住者になります。
居住者が、日常生活において、過失等が原因で第三者に対して損害を与えてしまった場合の保険となります。
この保険がカバーしている範囲は結構広く、日常生活に起因する事故等であればマンションの外で発生した場合も適用されます。しかし、近年は高経年マンションを中心に、専有部分の配管が原因での漏水事故が多発しており、そのためにこの保険料が大幅に値上がりしています。
また、そもそも共用部分には関係のない個人の損害賠償責任を、なぜ管理組合が負担して保険をかけなければならないのかという議論もあります。
上下階の漏水事故は、個人間の問題とはいえ、加害者に賠償能力がない場合には、必ずといってよいほど管理組合が紛争に巻き込まれますので、多くの管理組合で付保している場合が多いと思います。しかし、保険料が安い時代ならともかく、最近の大幅な値上がりを考えると、管理組合で付保することの是非も再検討した方が良いかもしれません。

5.その他

地震保険に対する考え方

管理組合で地震保険を付保するべきかそうでないかはよく問題となるところです。
あくまでも私見ですが、私は以下の理由であまりお勧めはしていません。①最大でも住宅の50%までしか付保できず、受け取った保険金で損害を全てカバーできないこと。つまり、地震保険は、被害を受けた建物を修復するというよりは、被害者の当面の生活の補てんが目的であり、管理組合の本来の目的とはいい難いこと。②保険料がかなり高いこと。③補償の対象が建物なので、設備や附属施設に大きな被害が出ても保証されないこと。④1回の地震での保険金支払総額が11.3兆円を超えた場合は、契約金額に応じて比例配分(減額)されるので、首都圏で大地震が発生した場合は、契約通りの保険金がもらえない可能性があること。などです。
しかし、東日本大震災以降、マンションにおける地震保険の契約率が大幅に上がっていることも事実ですので、管理組合のそれぞれの事情を考慮して検討されたらよいと思います。

保険金請求に関する誤解と時効

保険金は、契約者が被った損害に対して支払われますので、受領した保険金をどのように使うかは管理組合の自由です。例えば、敷地内のベンチが何者かに壊されたので、保険申請をして保険金を受領した場合、同等品を新規に購入するのか、更に費用をかけてもっと高級なベンチを購入するのか、購入しないで当面様子を見るのかなどは管理組合が決めればよいことです。被害が発生していないのに保険金を請求したら、詐欺になりますが、被った被害に対する保険金を受領しているのですからこの場合は詐欺になりません。
また、保険金請求の時効は3年といわれていますが、多くの人は、3年以上前に発生した事故は保険請求ができないと勘違いされています。3年の時効とは、保険会社の認定が下りて、保険金を受領できるようになってから、3年間請求をしなければ時効になってしまうという意味ですので、3年以上前の事故であっても、保険会社にきちんと説明ができる事故であれば、まずは請求してみた方が良いと思います。
それから、マンションの損害保険は自動車保険とは異なり、保険事故が発生して保険金を請求しても、更新時に保険料が上がることはありません。
(※料率の改定により、保険料が上がることはあります。)
また最近では、契約期間内の一定の判定期間内に保険金の請求がなかった場合(いわゆる無事故の場合)には、更新時の保険料を割り引く保険会社も出始めました。

マンションドクター火災保険について

多くの保険会社は、マンションの築年数だけで計算して保険料を算出します。前述のように築浅のマンションと高経年マンションでは漏水事故の発生率に大きな差があるからです。しかし、適切な修繕を実施して、給水管や排水管をきちんと更新しているマンションの場合はどうでしょうか。漏水事故の発生率は新築マンションと変わらないはずです。保険料を築年数だけで算出するのではなく、マンションの管理状況を細かく評価したうえで、保険料を算出する保険会社も出てきています。築年数が古い場合でも、適正な管理ができているマンションであれば、保険料が30~40%も安くなっている事例もあります。
このマンションドクター火災保険を適用するための管理状況の査定は、研修を受けたマンション管理士が行う必要がありますが、高経年マンションであっても、きちんと管理がされているマンションであればぜひ検討する価値はあると思います。

6.さいごに

いかがでしたか?マンションに付保する保険の場合、商品の変遷等もあり、誤解や勘違いなども結構多いように思います。保険の中身を知らない場合には、大きな損をする可能性もありますので、分からないときなどはぜひ専門家に相談して検討してみてください。


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修繕積立金を専有部分の改修に使用した事例の最高裁決定について

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2018年01月03日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。
私が10年来お世話になっている管理組合で、4年にわたる裁判をやっていましたが、2017年9月にようやく最高裁判所の決定が出て決着した裁判があります。この裁判は、相手方(原告・控訴人・上告人)の代理人弁護士はこの業界でも有名な学者だったし、高等裁判所の判決が出た時点で、一部のマスコミにも紹介されましたのでご存じの方もいらっしゃると思います。
事件の内容は「修繕積立金を専有部分の工事に使用できるか。」というものです。注目度の高い事案だと思いますが、今までは係争中であったこともあり、本件のご紹介は控えさせていただいておりました。
しかし、最高裁判所の決定が出たことや、私のホームページで紹介することに関し、管理組合からの了解が得られたのでここに公表させていただくことにしました。

はじめに

簡単にいうと、本判決は、「マンション管理組合が大規模修繕工事等の修繕を実施する場合、一定の条件のもとで修繕積立金を専有部分の工事に使用することは、違法ではない。」という内容です。

マンションの修繕積立金の使途については、多くの場合、管理規約で定められており、国土交通省マンション標準管理規約(単棟型)では、第28条(修繕積立金)に以下のように規定されています。

  1. 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
  2. 不足の事故その他特別の事由により必要となる修繕
  3. 敷地及び共用部分等の変更
  4. 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査
  5. その他敷地及び共用部分等に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

上記の修繕は、全て共用部分が対象とされています。
また、第21条(敷地及び共用部分等の管理)第2項には以下のような条文もあります。
「2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」

そして、その条文に関する国交省のコメント欄には以下の2点があげられています。

  1. 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
  2. 配管の清掃等に要する費用については、「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。

給排水管の横引管が「専有部分」であることを前提として、以上を素直に解釈すると、国交省は、「専有部分を含む雑排水管の高圧洗浄等は管理費から支出しても良いが、更新(取替え)工事の場合は、専有部分に当たる部分の工事は個人負担でやりなさい。」と指導している事になります。
築年数が経過した高経年マンションが多くなった昨今、給排水管の更新工事はその事例がとても多くなっています。
その際に、「共用部分(竪管)の更新は管理組合の責任と負担で実施しますので、専有部分(横引管)については、個人負担でやってください。」となると、個人の経済的な問題もあり、専有部分の改修がなかなか進みません。
専有部分の改修が進まないと、それを原因とした漏水事故が多発し、結局は管理組合運営に支障をきたします。
そこで、管理組合に資金的な余裕や目途がある場合は、専有部分も修繕積立金で工事を実施する例は、最近は結構あります。
それが、今までは大きく揉めたり裁判沙汰までならなかったのは、反対する人が少なかったからです。
専有部分の更新工事は実施したいが、個人負担となると躊躇する住戸が出てくることは容易に想像できます。しかし、それを修繕積立金を使って管理組合が実施してくれるのであれば反対する人はいないはずです。
今回は、管理規約の改正・修繕積立金で専有部分の工事を一部実施することなどを提案した総会決議に関し、2名の組合員から「総会決議の無効」を主張して訴えられた事案です。

修繕工事のきっかけ

ご紹介するマンションは、私が2005年からお世話になっているマンションで、概要は以下のとおりです。

  • 竣工 昭和42年(1967年)今年で築51年を迎えます。
  • 4棟の団地形式で戸数は200戸弱

築40年目くらいから建替えも検討しましたが、容積率が現行法規をオーバー(いわゆる既存不適格建築物)しており、同様の規模では建替えができないことが判りました。
そこで、理事会と修繕委員会では、向こう30年間は十分に使用できる本格的な修繕工事を実施することを考え、従来型の大規模修繕工事ではなく「マンション再生工事」と名付け、本格的な検討に入りました。
建物については、従来の外壁塗装や防水工事に加え、ベランダ手摺の全面交換、玄関扉の更新を計画しました。ちなみに、アルミサッシについては米軍や自衛隊の基地が近くにある関係で、防衛省の騒音対策費でほぼ更新済みでした。
そして、設備に関しては給水管・排水管・ガス管の全面更新を計画しました。

給排水管更新工事等の概要

既設の配管類と更新方法は以下の表のとおりです。

部位現状修繕計画
排水管・配管材料は白ガス管と塩ビ管が混在
・横引管は、下階の天井裏に敷設されている
・竪管・横引管とも硬質塩ビ配管に更新
・なお、横引管は最高裁判例(平成12年3月21日)により「共用部分」
給水管・配管材料は白ガス管
・横引管は、床スラブの上にシンダーコンクリート数㎝を施工し、その中に埋設
・竪管・横引管とも架橋ポリエチレン管(電気融着継手)に更新
・横引管(専有部分)は、シンダーコンクリート内に埋設(一部露出)
トイレ・従来型便器(フラッシュバルブ方式・専有部分)・給水管、排水管の更新とともに、便器(節水タイプ・専有部分)も交換
浴室・バランス釜タイプ
・浴室防水+押えコンクリート+タイル貼り
・椀トラップを経由して、下階天井裏から排水
・浴室防水、トラップは共用部分
・バランス釜、浴槽、内装タイルは専有部分
・バランス釜と浴槽を撤去してユニットバス化
・ベランダに新規に給湯器(16号)を設置
・床スラブに新たに穴をあけ、下階天井裏に排水経路を確保
・ユニットバスと大型給湯器は専有部分

この表をご覧になって、皆様は何か感じられましたか?
更新工事の内容に、「ユニットバス」「給湯機」「便器」など明らかに専有部分である設備が多く記載されています。前述のとおり、横引管までを更新する例は多いと思いますが、ここまで踏み込んだ形での更新は珍しいと思います。

今回の、工事は共用部分の工事をするためには、浴槽も解体しなければできないとか、トイレの便器も従来品を再利用するなら保証が出ない等の難問が山積していました。
そのため、

  1. 従来のバランス釜タイプの風呂釜と風呂桶は撤去し、復旧しないでユニットバス方式に変更する。
  2. そのためには、給湯器が必要となるのでベランダに給湯機を設置する。
  3. 便器も旧式のフラッシュバルブ方式の便器を再利用するのでは、更新した配管との接続がうまくいかず、工事会社からの保証が出ないので、新品の節水型に交換する。

等の大掛かりな付帯工事が必要と判断しました。
浴室の現状図をご覧ください。
haikann.png

この状態で、排水管を更新するには、現在設置してあるバランス釜と浴槽を一旦撤去し、洗い場の床を壊して、排水管と防水層をやり替えた後、また床のコンクリートを打設したうえで、一旦撤去したバランス釜と浴槽を再設置することになります。
検討しましたが、この工法では工期も費用も掛かり、且つ再利用するバランス釜や浴槽も問題なく再利用できる保証がありません。
ユニットバス方式にする方が、工期もコストもメリットがあることが判りました。

費用負担の検討

このように、ユニットバス、給湯器、便器などは明らかに専有部分ですが、この方法で施工する方が、工期も短く費用も安く上がることや、専有部分を個人負担にすると、前述のとおり、経済的な理由等で工事ができない住戸が発生することが明らかなので、全てを修繕積立金で賄い一斉に工事することを検討しました。
長期修繕計画を見直した結果、さすがに一時的に資金ショートすることが分かりましたが、金融機関からの借入れを利用すると何とかなることも分かりました。
また、リフォーム等が進んでおり、既にユニットバス化した住戸や便器の交換をした住戸もありましたので、今回、管理組合でそれらの更新工事をしなくても良い住戸については、不公平にならないよう、何らかの配慮をすることを具体的に検討しました。案としては、それらの工事費用に相当する金額を返金する案もありましたが、規約で禁止されている修繕積立金の分割になる可能性もあるので、それは行わず、今回の工事に伴うオプション工事(個人負担)費用の減額をすることで決定しました。

手順

管理規約の改正案作成

標準管理規約(単棟型)には、第21条第2項に「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」とありますが、これをさらに踏み込んで「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分及び共用部分の管理上影響を及ぼす部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」とし、具体的にはユニットバス化や給湯器の設置を意識した改正案を作成しました。
そして、修繕積立金の使途(標準管理規約の場合は第28条第1項)に上記の工事を加えることとしました。

総会決議

重要な案件なので、事前に説明会を開催し、この方法が一番合理的であることや、組合員間の不公平が極力出ないような配慮をすることを十分に説明し、臨時総会を開催しました。
議案は以下のとおりです。

  1. 前記管理規約の改正
  2. 給排水管等更新工事の実施
  3. 資金の借入
  4. 管理費会計剰余金の修繕積立金会計への振替処理

裁 判

反対者はいたものの、議案は全て可決され工事が始まったその時に、2名の組合員から以上の決議は全て無効である旨の訴訟を起こされました。「2」、「3」、「4」は、「1」の決議に関連するものなので、実質的には「1」の規約改正の有効性を争った形となりました。
また、更に驚いたのは、原告側の代理人弁護士はマンション管理の業界では誰でも知っている有名な学者さんでした。管理組合側も、従来からお世話になっている弁護士事務所に依頼してここから長い戦いが始まります。

この間、裁判官も途中で3回変わりましたので、裁判官の性格や評判等も調査(検討)しながら弁護士事務所と協議し、裁判を進めました。
原告側は主に区分所有法の原則論的な主張が多く、さすが学者弁護士だなと思いました。
一方、被告(管理組合)としては、区分所有法の原則は尊重するものの、専有部分を同時施工する合理性や、起こり得る不公平に対する配慮などを丁寧に説明し、この建物においては、こうすることが最も合理的であることや、最終的に反対している組合員はわずか2名に過ぎないこと等を主張し、最後は多数決による「住民自治」を尊重するべきであるという点を主張しました。その間、準備書面を作成するための打合せや、関係者に証人として出頭していただくためのお願いなど、大変な苦労がありました。

そうしているうちに工事は進み、原告1名の住戸の縦系列を除いて工事は完了しました。ちなみにもう1名の原告は工事に協力し無事に完了しています。

1審(地裁)・2審(高裁)の判断

第1審の判決が出たのは、管理組合に訴状が届いて約3年7か月後でした。本当に長い戦いでしたが、結果は管理組合の全面勝訴です。
第1審の判決文はこちらをご参照ください。

原告は直ちに控訴し、裁判は更に続きましたが、6か月後に出た第2審(東京高裁)の判決も第1審の判決に加筆する形で原審を全面的に支持する内容でした。
第2審の判決文はこちらをご参照ください。

最高裁判所決定

原告(控訴人)は、高裁の判決を不満として最高裁に上告しましたが、2017年の9月に最高裁判所の決定が出ました。
決定文はこちらをご参照ください。

さいごに

私見ではありますが、マンション管理組合運営は、合理性と衡平性が担保されており、多くの区分所有者が賛成しているのであれば、区分所有者による自治がかなりの範囲で認められるのではないかと感じました。
そもそも民法の特別法として区分所有法ができたのも、民法では「全員一致」でなければできない「共用部分の変更」を見直し、区分所有建物を適正に管理するためには多数決原理を導入する必要があるという考え方に基づくものだと思います。
今回の裁判例だけをとって、「修繕積立金を専有部分の工事に使っても構わない」という短絡的な発想にはならないと思いますが、一つの参考事例にはなると思います。

最後に、今までの裁判の論点を以下にまとめてみましたのでご参考にしていただければと思います(PDF版:修繕積立金を専有部分の改修に使用した事例の各争点と裁判所の判断)。

【争点①】マンション総会決議の無効確認の利益の有無

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【争点②】共用部分と一体化した専有部分や共用部分の管理に影響を及ぼす専有部分の管理を管理組合が行うことは、区分所有権の侵害に当たるか。

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【争点③】本件規約の改正が、区分所有法第30条第3項(不衡平の禁止)に該当するか。

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【争点④】本件規約の改正が、区分所有法第31 条第1 項後段(特別の影響を受けるものの承諾)違反となるか。

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【争点⑤】修繕積立金の目的外使用に該当するか。

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【争点⑥】仮に改正された規約が有効だったとした場合、本件工事の内容が、規約に違反しているか。

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【争点⑦】本件工事は、区分所有制度の基本に反するか。

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