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ホーム > お知らせ&日記(ブログ) > マンション管理士 業務日誌 > 新築マンションで施工不良!外壁タイルの訴訟事例とポイント<マンションに欠陥が見つかったら③>

2023年04月18日  [ カテゴリ:マンション管理士 業務日誌 ]

こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。

最近、大成建設の施工不良が話題になっていますが、マンションにおいても、過去に何度も大きな施工不良が取り沙汰されてきました。
建替え等を要するような施工不良はごく稀ですが、施工不良が発覚したものの、管理組合が一方的に費用負担を強いられるケースも少なくありません。

そこで今回は、実際に外壁タイルの施工不良により「不法行為責任に対する民事裁判(損害賠償請求訴訟)」を経て解決金を得た事例を基に、その対応方法や留意点をご紹介します。

なお、ご紹介する事例は「新築マンションにおける施工不良」ではあるものの「瑕疵担保責任期間を過ぎていた(10年経過後に発覚=時効)」という、管理組合にとっては不利な状況下から民事裁判に持ち込み解決金を得た事例であり、「外壁タイル」云々抜きに、同様の状況でお困りの管理組合にとってお役に立てるものがあると思っています。

せっかく購入した新築マンションに施工不良や重大な欠陥が見つかった際、理不尽な対応をされたり泣き寝入りすることなく、少しでも良い結果に繋がるよう、その一助にしていただければと願っています。

1.本記事の概要・ポイント

本記事は、実際に重松事務所が大規模修繕工事コンサルティングを受託した、築10年超の新築マンションで起こった事例を基に、他の事例も織り交ぜながら内容を抽象化・一般化した形で構成しています。

概要・ポイント
  1. 新築マンションで発覚した施工不良である。
    1. 外壁タイルに大量の浮きや剥離等が見られた。
    2. それにより、通常の数倍の補修費用を要することになった
  2. しかし、住宅品確法による「10年間の瑕疵担保責任」適用外だった。(民法上の「債務不履行」も時効)
    1. 施工不良が発覚したのは、10年経過後、第一回大規模修繕工事での調査時
    2. 売主に補修費用の負担を求めたが、経年劣化であり10年も超えていることから応じてもらえず
  3. 不法行為責任を追及する民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こし、補修工事のための解決金を勝ち取った
    1. タイルの大量の浮き・剥離は「瑕疵」と認められ、和解という形で決着。
    2. 「解決金」という形で数千万円の補修費用を得た

本記事を参考にしていただく際の大きなポイントは上記「1」と「2」、すなわち「新築マンションにおいて施工不良が発覚したが、瑕疵担保責任期間の10年を経過していたこと」、です。
なぜなら、通常、余程明らかな不具合、事故等がない限り、建物の劣化診断等を行う第一回目の大規模修繕工事時に発覚することが多いからです。

そしてそれは、冒頭でも触れた「住宅品確法による瑕疵担保責任期間」や「債務不履行に基づく損害賠償請求権の時効期間」の「10年」を過ぎており、管理組合にとっては厳しい状況だからです。

※2023年3月現在、品確法では今も「瑕疵担保責任」という表現が使われていますが、2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改められました

2.民事裁判(損害賠償請求訴訟)までの流れとポイント

民事裁判(損害賠償請求訴訟)までの流れは以下の通りです。
実際には大規模修繕工事を並行して実施していますが、ややこしくなるため途中から割愛しています。また、重松事務所では、受託した大規模修繕工事関連はもちろんですが、裁判前の各種交渉についても情報提供、書類作成、合意形成等をサポートしています。

民事裁判(損害賠償請求訴訟)までのタイムライン

  1. 大規模修繕工事の相談を受け、コンサルティングを開始。
  2. 設計・監理方式での実施を決定し、設計事務所の選定、工事仕様の策定支援、施工業者公募の準備等を進める。
  3. 設計事務所選定後、工事仕様策定のため建物の簡易劣化診断を実施。
    • 通常より多いタイルの浮き・剥離を確認。
    • 通常の倍以上の補修費用を計上することになり、施工不良の可能性を疑う。
  4. 大規模修繕工事着工。足場がかかったところで全面打診調査を実施。
    • 悪い予想が的中し、大量のタイルの浮き・剥離等を確認。
    • 補修費用がさらにかさむことになり、その費用等について対応を協議。
  5. 訴訟を視野に入れつつ、まずは売主に対し「タイルの補修費用負担」を求める。
    • 売主は、タイルの浮き・剥離は「経年劣化」と主張。
    • また、瑕疵担保責任期間の10年も過ぎているので「時効」も主張。
  6. 交渉を重ねるも進展がないため、本格的に訴訟を検討。
    組合員への説明会・アンケート、臨時総会を経て「裁判申し立て」へ。
  7. 売主・施工会社の不法行為責任を追及する民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こす。

きっかけは大規模修繕工事

前述の通り、本記事の基になった事例では、そもそも大規模修繕工事に関する相談を受けたことが事の始まりでした。
そして、管理会社が提案する責任施工方式を採用せず、「設計・監理方式」で大規模修繕工事を実施することに決定しましたが、結果論ではあるものの、その後の施工不良の発覚〜裁判を振り返ると、この時のご判断はとても大きいものでした

施工不良はいつ分かったのか?〜疑念から確信に至るまで

繰り返しになりますが、当初の相談内容は大規模修繕工事に関するものであり、施工不良に関してではありませんでした。従って、コンサルティング開始時点で施工不良は発覚していませんでした
ではどこで発覚し、確信に至ったのか? おおまかな経緯は以下の通りになります。

  1. 疑念大規模修繕工事の仕様策定段階、建物の簡易劣化診断実施時
    • 工事仕様策定のため、建物の簡易劣化診断を実施。まだ足場がなく本格的な打診調査ができないため、歩行範囲での目視、1階部分の簡易打診調査を行う。
    • 外壁タイルの不具合(浮き・剥離等)が、標準的な数値よりも多いことが判明通常の倍以上の補修費用を計上
    ⇒打診調査でもっと多くの不具合を確認できる可能性があったものの、この時点では未確認のため、疑念を抱くに留まる。
  2. 確信大規模修繕工事着工直後、足場がかかった状態での打診調査時
    • 足場がかかった段階で、本格的な打診調査を実施。
    • 悪い予想が当たり、タイルの不具合(浮き・剥離等)が設計数量以上に多いことが判明不具合率は15%超
    • さらに、タイル下地の目荒らし不足(※1)の箇所、目地を跨いで(目地の上に)タイルを張ってある(※2)箇所等も確認される。
    ⇒建設時の工事がかなりずさんだった(=施工不良)との確信に至り、補修費用等の負担を求めることに。
  1. 目荒らしは、文字通りタイル貼付下地の表面をわざと粗く処理することで、しっかりと面と付着させることを目的した作業のこと。処理が甘いと付着力が低下し、浮きや剥がれといった施工不良に繋がります
  2. このような貼り方をすると、建物が揺れたときにタイルが破損してしまう可能性がとても高くなります

総タイル面積の15%以上に浮きや剥離

問題となった外壁タイルは、何と総タイル面積の15%以上に不具合が見つかりました
これは、一般的な不具合率の数倍の値でした。

なお、「外壁タイル」のトラブルは、近年訴訟も含めて多くの事例が見受けられるものの一つです。
「外壁タイル」がどの程度含まれるかは分かりませんが、住宅リフォーム・紛争処理支援センターによれば、紛争処理の争点になった共同住宅における主な不具合事象として「ひび割れ」「はがれ」が上位にあり、その当該部位に「外壁」と記載されていました。
戸建住宅も1位は「ひび割れ」になっていましたが、外壁に関するトラブルが多いことがうかがえます。

主な不具合事象(共同住宅)
不具合事象 当該事象が多く見られる部位
ひび割れ 17.8% 外壁、内壁、床
はがれ 14.6% 外壁、内壁、床
遮音不良 13.1% 床、開口部・建具
変形 12.1% 床、内壁
汚れ 10.9% 内壁、床
異常音 9.0% 排水配管、天井

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター

外壁タイルの一般的な不具合率は何%とみるか

本記事の基になっている事例では、総タイル面積の15%超に不具合が見つかる事態でしたが、一般的な不具合率はどの程度と見るべきでしょうか。

経年劣化による浮きや剥離は、立地(環境)や自然災害も含めて様々な要因があると思いますので、全て一律に同様の判断はできないと思いますが、個人的には以下を参考指標にしています。

(参考1)浮き等の正常値は、0.2%/年を一つの目安に

タイルの浮き等の参考値については、以前の記事でも触れましたが、重松事務所がお手伝いした数々のマンションにおいて、同程度や1%未満の物件もあったため、個人的には0.2%/年を一つの目安にしています
12年目の大規模修繕工事なら、0.2×12年=2.4%になる計算で、この程度であれば正常な範囲といった見方になります。

この数値は、建築家の鈴木哲夫氏が「防水ジャーナル」で発表された、施工不良がない建物においては1年で0.19%という数字を参考にしたものです。

(参考2)浮き等の施工不良の目安は、施工後10年超15年以内なら5%以上

もう一つの参考指標は、大阪地方裁判所判事である高嶋卓氏が判例タイムズに寄せた論文で示された数字(下表参照)で、本記事の基になっている事例であれば「施工後10年超15年以内」に該当するので、「5%以上」なら施工不良の可能性が高い、という見方になります。

この数値は、先の鈴木哲夫氏による記事に記載されている「施工不良のあった建物については0.46%/年(12年なら0.46%×12年=5.52%)」という数字に近いものでもあります。

なお、本記事の基になっている事例の不具合率は15%超でしたので、これら参考指標を大きく超える数値であることをご理解いただけると思います

施工後の期間 浮き・剥落の割合
5年以内 0%以上
5年超10年以内 3%以上
10年超15年以内 5%以上
15年超20年以内 10%以上

出典:判例タイムズ

幾度かの交渉を重ねた後、損害賠償請求訴訟へ

当初から訴訟を視野に入れていたものの、弁護士費用や時間がかかること、理事(特に理事長)の負担も大きくなること等から、まずは直接交渉(当事者同士の話し合い)を行うのが一般的です。

本記事の基になっている事例においても同様で、まずは直接交渉を行いましたが、残念ながら期待する「誠意ある回答」は得られませんでした。

「経年劣化」と「時効」を主張してくる

他の事例においてもそうですが、10年を過ぎて施工不良が発覚した場合、大抵は「経年劣化」と「時効」を主張してきます
一部そうではない事例もありますが、残念ながら「はい、施工不良でした。費用負担いたします。」とはいきません・・・。

次の手段として「住宅紛争審査会」や「民事調停」の活用が考えられますが、経験上、同じ主張を展開してくるので、訴訟同様の成果を得るのは極めて難しいと思います。
しかし、それぞれ低コストで済み、公平中立な場で第三者を交えてやりとりできるため、「直接交渉で全く相手にしてもらえない」「もう少しだけ譲歩してくれればいい」等の場合も含めて、うまく活用できる場面はあると思います。

損害賠償請求権の「消滅時効」と「立証責任」に注意

従って、10年を過ぎて施工不良が発覚した場合、最初から訴訟を視野に入れて行動することが肝要だと思います。
そして、訴訟を視野に入れる場合、注意しなければならないのは以下2点です。

  1. 「消滅時効」があること
  2. 施工不良の「立証責任」は管理組合にあること

被害者等が損害及び加害者を知った時(今回であれば、施工不良と確信する事実を知った時)から「3年」、権利を行使しないと時効になってしまいます。(事実を知ることなく20年経った場合も時効になります
従って、その点を十分に意識して行動することが、極めて重要なポイントです

また、施工不良であることを、管理組合が証明しなければなりません
それができないと、訴訟になっても期待する成果を得られません。

外壁タイルについては、前述の不具合率(浮き・剥落の割合)も根拠の一つになり得ると思いますが(実際の裁判でも提出しています)、それだけではなく、本来されているべき施工がきちんとされていたのかを丁寧に調査・検証し、誰が見ても明らかな形で「施工不良」だと分かりやすく示せること、それをできるだけ多く用意することが重要なポイントだったと感じています。

ポイント

  1. 新築マンションの場合、「第一回目の大規模修繕工事」で施工不良が発覚する場合がある。
    その場合、最初から訴訟を視野に入れて行動する。
  2. しっかりと調査・診断・判断するためには、「中立な第三者」の視点が重要。訴訟の際の鍵にもなる。
  3. 万が一施工不良が見つかった場合、想定外の「追加の工事費用」が発生する。
  4. 訴訟を視野に入れる場合、「消滅時効」があるので、時間軸を意識して行動する。
    また、施工不良の立証責任は管理組合側にあることも十分に理解して行動する。

3.民事裁判(損害賠償請求訴訟)の概要と結果

本記事の基になっている事例における裁判の概要は以下の通りです。
この裁判では私が管理者に就任し、出廷をはじめ中心となって様々な対応にあたり、弁護士探し、資料作成、合意形成等、こちらも引き続き重松事務所でサポートをしました。

裁判の概要
  • 原告:管理者 重松秀士
  • 被告:売主、元施工会社
  • 裁判所:管轄の地方裁判所
  • 請求内容:不法行為の損害賠償金(タイル補修費用・経費等)、仮執行宣言

争点と結果

争点
  • 外壁タイルの大量の浮き・剥離が「瑕疵」かどうか
提出した書類(証拠)
  • 大規模修繕工事時の調査結果等、合計数十本
 
裁判所の判断
  • タイルの大量の剥離は「瑕疵」である。
  • 管理組合が請求できる損害は、以下の2つ。
    ①実際に支払った補修費用
    ②将来必要となる補修費用

詳細はご紹介できませんが、上記のような裁判所の判断を経て「和解決着」となりました。
そして、管理組合は実際に支払った補修費用を含めて数千万円の補修費用を得るに至りました。

ポイント

  1. 10年を過ぎても、民事裁判にて不法行為責任の追及は可能。
  2. ただし、そのためには管理組合がそれを立証する必要がある。
    従って、施工不良の根拠、証拠を数多く収集・保全しておくことが重要。
  3. 裁判所から和解を促されることも多々ある。
    長引く分、時間と経費もかかるので、ある程度納得できる内容であれば和解に応じる形もある。

4.大規模修繕工事の顛末

本記事の基になっている事例は、前述の通り、そもそもは大規模修繕工事に関するご相談から始まりました。
そして、その途中で施工不良が発覚した形になりますが、もちろんその影響を受ける形になりました。最後にその点をご紹介して、まとめに入りたいと思います。

大規模修繕工事の概要
  • 実施時期:裁判前
  • 実施方式:設計・監理方式
  • 費用:長期修繕計画の計上額>実際の工事費用(本工事+施工不良による追加補修工事費用)

外壁タイルの施工不良による追加補修工事はどうする?

施工不良に伴う追加の補修工事は、足場がかかった大規模修繕工事中に対応することになりますが、今回はまだ訴訟開始前。
その状況で、ある程度の見通しを立てながら、支払いや工事範囲等を適切に決めなければなりませんでした。

  1. 予算内に収めるため、一部工法を変更。
    落下した場合、人に被害を与える可能性がある箇所は全て貼替え、それ以外は注入工法で対応。
  2. 剥離・落下しても特に問題とならない箇所は、次回の大規模修繕工事で対応。

想定外の出費にはなったものの、今回は上記のように対応することで、このために新たな借入等することなく対応することができました。
また、結果論ではありますが、「設計・監理方式」にして本工事の費用を抑えることができたことも幸いしたと思います。

ポイント

  1. 施工不良が発覚した際、それが重大なものはその対応のための追加費用が即発生する場合がある。(裁判の結果を待てない)
  2. 修繕積立金に余裕がない場合、借入等で対応しなければならない場合もある。

5.まとめ〜新築マンションにおける施工不良で押さえるべきポイント

最後に、改めて新築マンションにおける施工不良について、ポイントを列挙してみました。ご参考にしていただければ幸いです。

新築マンションにおける施工不良で押さえるべきポイント
  1. 住宅品確法で担保された保証期間は10年間。民法上の債務不履行に基づく損害賠償請求権も同様。
    1. 10年を超えてしまえば時効。法的責任はなくなります。
    2. しかし、発覚のきっかけとなることが多い1回目の大規模修繕工事の実施は、竣工後10年以上経ってから。その点に注意。
    3. そもそも品確法の対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」であることに注意
      今回の外壁タイルが対象になるかは明確になっていません(「外装材」という扱いなら対象外になると思われます)。
  2. 従って、大規模修繕工事の実施前(10年未満)に何らかの形でチェックできることが望ましい。
    特に、トラブルが多い外壁タイルや気になる点がある場合はなおさら。

    外壁タイルに関しては、
    1. 建築基準法による定期報告制度の対象になっているマンションは、その機会をしっかり活用する。
    2. 対象外なら、少なくとも10年以内に一度、何らかの調査を実施したい。
      • 外壁に足場を架けないでも、ロープやブランコを活用すればコストを抑えて部分打診を実施可能。
      • さらに低コストのドローンを使った赤外線調査という方法もあります。
    3. 10年以内に発見し売主に申し入れておくことで、大規模修繕工事時に保証してもらえる可能性もあります。
  3. 大規模修繕工事をデベロッパー系(分譲会社系)の管理会社に発注することの是非。
    1. 竣工時の瑕疵(不良工事)を隠蔽される可能性があるため、個人的には勧められません。
    2. ただし、デベロッパーによっては、訴訟をせずに補修の実施や補修費用を負担した事例もありますので、一概にNGとは言えません。
  4. 住宅紛争審査会による紛争処理は、10年を超えると好結果を期待できない。過去記事参照
    1. 品確法に基づく制度なので、10年が「絶対的な基準」として処理されます。
      10年を超えていても活用可能ですが、裁判同等の調停結果は得られません。
    2. しかし、住宅紛争審査会外の代替手段についての助言もしてくれます(例:不法行為での訴訟)。
      申請手数料1万円程度で活用でき、中立な場で相手の主張、調停委員である専門家(弁護士・建築士)の見解を聞けるので、低コストで行える初期対応の一つとして有用だと思います。
    3. ただし、利用するには、建設住宅性能評価書が交付されている等の条件があるので注意してください。
  5. たとえ10年を過ぎていても、不法行為責任の追及は可能。
    1. 発覚が第1回目の大規模修繕工事時であれば、最初から不法行為を視野に入れて行動するべきです。
    2. そのためには、施工不良の根拠や証拠を数多く収集・保全しておくこと。
      故意または過失に対する立証責任は管理組合側にあることを、十分に理解しておくことが肝要です。
    3. 消滅時効は、発生から20年または知ったときから3年。
      従って、発覚後は消滅時効を十分に意識した行動が必要になります。本記事の基になっている事例でも、早くから解決策の検討を始め、行動に移していました。
  6. 発覚が大規模修繕工事時の場合、補修費用等の工面が必要になる場合も。
    1. 本記事の基になっている事例では、事故の危険性があったため、裁判結果を待たずに補修せざるを得ませんでした。
    2. 同様の場合、借入等が必要になる可能性があることに注意。

【さいごに】引渡し後10年を迎える前に点検を!

今回もかなり長くなりましたが、いかがだったでしょうか。

本記事の基になっている事例では、最終的に訴訟を起こし、補修費用を得ることができました。
幸い、一方的に管理組合側が負担を強いられることがなく次の大規模修繕工事に繋げられる形で終わりましたが、うまく交渉できず泣き寝入りしたという管理組合も結構あるのではないでしょうか。

結果論ですが、たまたま大規模修繕工事のコンサルティングという形で施工不良を発見するきっかけとなった調査段階から関わることができたため、早い段階から訴訟を視野に入れた対応ができたことは幸いでした。
また、今回の裁判の他にも最高裁まで争って勝訴した訴訟等の経験があったため、そうした経験や実務に詳しい弁護士を知っていたこともプラスに働いたと思います。

しかし、状況によっては困難が予想されます。
繰り返しになりますが、このようなことになる前、つまり引渡し後10年を迎える前に、外壁や屋上防水、その他気になる箇所があればその点検を行うことを強くオススメいたします

以下は、外壁タイル問題に関係する一連の記事です。
本記事では僅かしか触れていない住宅紛争審査会での調停についても書いていますので、お役に立てそうなものがあればそちらもご覧ください。

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