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私もこの講習会の後は、ファイバースコープによる「サビこぶ検査」や「抜管」をずいぶん経験いたしました。
このときは書類+目視検査を1次検査と教えられましたが、書類審査を1次、目視を2次、非破壊検査を3次、破壊検査を4次としている場合もあります。
老朽化したマンションにおける給排水管のメンテナンスは日常生活に直結する問題で区分所有者の皆様にも関心の高い問題です。
今回は私が先日参加した「マンションにおける給排水管の劣化診断について」というセミナーで勉強したことをお話いたします。
一般的な診断のことをいい、主として目視検査、聞き取り(アンケート)調査、書類による調査を行います。何だこの程度かと甘く見てはいけません。これだけの調査でもベテランの調査員が担当するとかなりのことが判ります。
2次、3次の調査を省略してそのまま改修工事に進んでいった例もたくさんあります。
1次診断から踏み込んだ診断で主に非破壊計測調査となります。
配管を破壊せずに(抜き取らずに)、より詳細な検査を行います。各方法については後述します。
この段階では専門の調査員と機器を使用して実施します。
更に踏み込んだ詳細調査でいわゆる管の抜き取り(サンプル)調査です。
診断は必ず1次→2次→3次と進んでいくわけではなく、1次のみ又は1次、2次、3次の組み合わせ等さまざまな方法で実施します。
配管内部に装置の先端部分を挿入して調査します。早い話が胃カメラを配管内部に挿入すると思ってください。
直管部分や曲がり、継ぎ手部分などすべての配管に適用できます。管内のさびの発生状況や詰まり具合、ライニング管においてはライニングの剥離状況まで調査できます。
長さは給排水管用のファイバースコープで約3メートル、排水管用のテレビカメラで20メートルくらいです。
あまり曲がりくねった部分には挿入できませんが最近の装置は性能が上がって、曲がり部分4~5箇所までならホースの挿入が可能です。
管の内部の状況は肉眼でよくわかりますが管の残存肉厚つまり損傷厚みまでは正確に測定できません。
イメージとしては健康診断のレントゲン撮影と同じ理屈で、配管の後側にX線フィルムをセットできるスペースがあれば測定可能です。しかも測定のために建物の機能を停止(断水等)しないで測定できるメリットがあります。
撮影後はマイクロコンピューターにより解析し、継ぎ手部分の残存肉厚や直管部分の腐食状態までも測定可能です。
注意事項としては労働安全衛生法などにより有資格者にて作業を行うことや、撮影中は半径5メートル以内は立ち入り禁止等の制約を受けます。
この方法もマンションの生活に支障をきたすことなく実施できる方法です。
超音波は固体中を伝わりやすく、異なる物質との境界で反射する性質を利用しその場ですぐに配管の残存厚みを測定することが可能です。
但しこの方法はセンサーを直接配管の表面に触れさせなければならないため表面が平らな部分に限られます。ネジ部などは測定できません。
また保温材などが施工してある場合はそれも取らなければ測定できません。
測定に当たってはエックス線測定のように被爆に配慮する必要はありません。
この方法は破壊調査です。水を止めてサンプル管を抜き取り、二つ割にして所定の方法で分析を行います。
配管を採取することができれば継ぎ手部分やバルブ部分を含めて全てに対して観察可能な調査方法です。
また、直に現物を手にとって見ることができるため専門知識が少ない管理組合の皆様にも理解が得やすい方法といえます。
しかし、調査のために断水や使用禁止の措置が必要で生活に支障をきたす問題があります。
また分析は持ち帰ってから実施しますので時間がかかります。(通常7日~10日)それに古いマンションではサンプルを抜き取る際に他の部分まで傷めてしまう場合があり慎重な作業が必要です。
概算費用については各項目とも20万円~40万円程度です。
マンションの規模などによっても違いますが大体の内容は
・作業時間は丸1日を目安とする。
・専門作業員約3名と専用機器の持ち込み。
・調査資料が完成したら理事会(総会)への報告・説明参加を含む。
等です。よって各項目を全て実施すると100万円以上もかかる場合があるので状況にあわせて組み合わせて実施したほうがいいと思います。
また、調査の実施時期は大規模修繕工事の直前ということで築約10年~12年が目安になります。
今回は劣化診断の方法について述べましたが、問題は調査の後にどのようなメンテナンスを実施するかが大切です。
特に、築20年以上のマンションは給水管に亜鉛めっき鋼管(いわゆる白ガス管)を使用しているケースが多く、管の更正や更新のタイミングが重要になります。
調査時期、1次診断の方法(アンケートのとり方)、調査方法の選択などはマンション管理士にご相談されたらいいと思います。(これは宣伝でした!)
今回はこれにて失礼します。
マンション管理コンサルタント マンション管理士 重松 秀士(プロフィール| )
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